最近の日韓関係はかなり悪くなっています。日本と韓国のマスコミ報道や政府の発表を見ていると、お互いに想定していた相手の反応と異なる反応の応酬で、収拾の切り口が見えない様です。
日本人の私から見ると、珍しく政府の言う「約束を守らない信用できない韓国」という話に共感を覚えます。約束を破ったのに何故ゴメンの一言も無いのだろうかとの疑問もわきます。但し、日本のマスコミや政治家の対立を煽る報道は大人気ない様に思えます。
一方、韓国政府と韓国マスコミの報道は、良く調べないままに色々な事を感情的に言いふらしている様に見えます。又、日本からの提起している問題を、挙国一致の反日プロパガンダにすり替えようとする動きに見えます。しかも、それを韓国国民も疑いもせずに賛同しているような印象です。
あまりにチグハグな成り行きに、兎に角、同じ事実や状況に対して、日本人の解釈と韓国人の解釈が根本的に異なっているのだろうと感じました。
そこで、韓国人(朝鮮民族?)の感じ方はどういう風になっているのかを知りたくて、 韓国人の感じ方について、少し前の時代の本、現在(昨年)の本、そして朝鮮民族のベースになっている儒教とはどんな考え方なのかの本を読んでみる事にしました。
この本はその1冊目。1996年発刊の本ですので、日本でいうと昭和末~平成初の頃にあたる、少し前の時代の韓国人についての本です。やっぱり、色々と基本的な文化や生活風習、常識の違いがあるようです。
こういう考え方、こういう事を大事にする人達なのか という事を理解するのがよさそうです。
以下 ナルホドと思ったポイントの抜粋をします。
1.身勝手にみえる韓国人
・コリアン・タイム:
定められた時間より遅れて会議や行事が始まったり、約束した時間に遅れてやってくる事を意味します。
韓国人の時間感覚は、約束の時間に15分遅れは会釈だけ、30分までなら軽い詫び言ですむ。1時間以上遅れたら、相手を納得させるだけの遅れた理由がなければならない。但し、謝らないで、相手に遅れた理由を説明する必要がある。との事。
これは、よくいえば個人主義、普通に言えば自分勝手な行動様式である。相手のことなどは考えない。相手をまたせること等に心の痛みは少しも感じない。感じるほうが不思議なのである。
日本人は約束の時間を守る事が大事だと考える。相手を15分とか待っても来ない時は帰ってしまう事もある。韓国人は時間よりも会う事が大事だと考える。相手がいくら遅れても先に帰ってしまうという事はない。
歴史的な時間感覚も違う。日本人には遠い過去と思われるようなことがらについても、韓国人は、つい昨日のような感覚で話かけてくる。500年ほども昔になる豊臣秀吉の朝鮮侵略が、今でも数年前のことのように生々しく語られる要因の一つには、この時間の感覚にあるのではなかろうかと思われる。
・チームプレーが出来ない韓国人:
1910年~1945年までのあしかけ36年間、日本は朝鮮半島を植民地支配した。
その時代を韓国人は「日帝時代」とか「強占時代」と呼んでおり、日本に対する憎悪がぎっしりと缶詰のようにつみこまれた時代と感じている。
その間、朝鮮人はつねに日本からの独立を思い続け、実施に独立闘争を繰り返し行ってもきた。その頃、朝鮮人の教師たちは、次のようなことを密かに生徒に教えていた。「1対1の勝負なら、ならず朝鮮人は日本人に勝つ。しかし、3対3の勝負となれば、かならず日本人が勝ってしまう。なぜ集団になると負けてしまうのかを良く考えなければならない。」
韓国企業では、仲間や部下に教える様に指導すると、「ここは会社で仕事をするところです。教えるところではありません。学校へ行くか、自分一人で勉強すればいいんです。」と答え、まわりにいた韓国人も、その答えに同調した人が多かったという。
但し、単に自分本位という事ではなく、一度仲間意識が出来、一人ひとりの役割分担が明確に理解されるとスゴイ組織力を出す。
・韓国人は職人や汗をかく仕事を差別する
肉体労働蔑視は続いており、日本で大学を卒業した人が寿司職人になるなどと聞くとビックリする。
韓国では料理屋は長続きしない。日本で3代続て100年になるおでん屋がある事に韓国人女性料理店経営者は驚いた。”韓国では食べ物商売の社会的評価が低いのです。経営者も従業員もあまりよくみられません。”とのこと。
・年下にはぞんざいな言葉で
韓国人にとって年齢は大切だ。年をとっているだけでも「尊敬」の対象となるから。
一家内の序列は 祖父→父→兄→自分 となる。
家の外では年上や上役、家の中では父親、母親、兄には必ず丁寧語を使わなければならない。父親は子供に対して絶対君主であり、長男は弟達に対して専制者のような存在である。この中に姉妹は含まれない。形式的には、女性は「出て行く者」として家族の成員としてあつかわれていなかったから。
朝鮮王朝時代の身分制度はもう存在しないが、社会的身分(職業の差や職制の差)および年齢による上下関係が複雑にからみあって、序列の決まりが現在の韓国人社会に強く残っている。
だから、いつでも自分がどの位置にいるのかという事が一番気がかりになる。
韓国人は上昇志向が極めて強い民族であるといえる。
自分を目立たせる。積極的に自分を売り込む。大きな声で話す。自分の力で出来ないことでも、出来ないとはいわない。仲間と協調しない。などはいかにして自分を高い位置にいると見られたいかという努力の表れ。
2.ウリ(われわれ)は韓国理解のキーワード
・ウリは共同体意識を表す言葉。
韓国人は「私の家」「私の国」「私のお母さん」「私の先生」というような言い方はできない。全て、ウリをつけて「我々の家」「我々の国」「我々のお母さん」「我々の先生」という言い方をしないといけない。
そして、ウリ意識は入れ子の構造になる。
・第1ウリ集団 家族
韓国では8親等までが家族と考えられる。意識の上では大家族になる。
家族内は一心同体にならなくてはいけない。
・第2ウリ集団 会社の部や課=コネ集団
非常に親しい人間関係になる。新人も基本はウリ内の人とのコネを持っている人が入って来る。
・異なるウリとウリは交じり合わない。
韓国人は未知の相手にはとんでもなく無愛想である。すぐ目の前に壁を作ってしまう。だが、その壁が崩れるとお互いにベタベタした関係を望んでいる。壁が無くなると、次は奥座敷に土足で踏み込む様な付き合いをしなければならない。
3.ウリよがりの韓国人
・強力な家族意識
「同本同姓は結婚できない。」韓国の金海金氏は300万人をこす大集団だが、この300万人同士は結婚できない。
「同族経営は会社の基本理念。」
・「親は子より大事」=儒教の「考=先祖を敬う」が最も大事
日帝時代に日本の支配者たちは、そういう「考第一」意識をもっていた朝鮮人に、何よりもまず優先させるべきこととして、天皇への「忠」を押し付けた。これは彼らから見るととんでもない事。
・「ありがとう」と「ごめんなさい」 軽々しく礼をしてはいけない
韓国では家族の間では、「うれしい」は使うが「ありがとう」は使わない。当然なされるべき行為にたいしては「ありがとう」という感謝を意味する言葉は必要ないという。
よって、レストラン等でもウエイトレスやウエーターに何か用事を頼んでも「ありがとう」という言葉を使ってはいけない。
「ありがとう」「すみません」「ごめんね」という言葉を韓国人は気軽には使えない。本当に感謝しなければならないとき、本当に謝罪しなければならないときにしか使えないのだ。
この習慣のちがいを知らずにいると、日本人側からは、「韓国人はお礼を言わない、謝る事を知らない、なんと尊大な民族なのだ」という見方になってしまう。
韓国人からは、「日本人は謝ってばかりいる軽薄な人間」と見えてしまうのだ。その気軽に謝る軽薄な日本人が、一番大きな過ちである日帝時代の朝鮮支配にたいしては、すこしも謝ろうとしないのだから、韓国側から反省を促す声が、ますます大きくなっていることも理解できるだろう。
・馴染みなると損する 通うほど高くなる寿司屋
ウリ内に入ってしまうと、助け合うのが当然と考えられてしまうので、馴染み客=ウリになると、お店の利益アップに貢献するように高い値段を言われても当然という意識になる。
・一族
血筋をこの上もなく大切にする韓国社会では、過去における一族の尊厳は現在生きている一族の尊厳と同じように、まもらなければならないのである。
以前、大昔の事についての文を書いたら、その登場人物の十数代もの子孫たちの猛烈な抗議にあきれてしまった。韓国で誰もが一族の名誉を大切にし、それを誇りにする。それが李朝時代の儒教思想にもとづいているのはいうまでもない。
4.韓国人の差別構造
・在韓中国人を差別、在日韓国人はもはや韓国人ではない =ハングルが不自由だから
・唯日史観
物事がうまくいったのは自分に能力があったからだと韓国人は考える。上手くいかなかったのは、誰かが悪かったのだと他人のせいにする。又、「運が悪かった」と運勢に責任をおわせるのも韓国人の口癖である。
他人に責任を押し付ける身勝手な癖は、日本を相手に責任をなすりつける時などは舌鋒が鋭くなる。韓国に存在するネガティブなものは、すべて日本のせいであるという解釈法を「唯日史観」という。韓国で一時はやっていた言葉で、韓国の知識人たちは自嘲をこめて使っている。
一方、日本を追いかけ打ち負かす「克日」という言葉もあった。
なかなか「克日」が出来ないので、「離日」という言葉が流行るようになった。日本は世界の中の一つの国にすぎない。先進国は日本ばかりではない。アメリカ、ドイツ、フランスなどからも技術を導入しようという発想。
抜粋は以上
上記 外にも色々と韓国人の感じ方が書かれているが、今日はここまで。
勿論、日本で発刊された本なので、日本人が読んで気持ちよくなるような演出をしてある本でしょうから鵜呑みにはできませんが、
韓国人の風習、考え方を頭において、現在の日韓のお互いの反応を見ていると、現在の韓国マスコミ、政府の言い方はこういう文化ルーツがあって言っているのか、と考える切り口にはなりそうです。
2019年7月20日土曜日
2019年7月6日土曜日
【本】系外惑星と太陽系 井田茂 岩波新書
何で、地球にはプレートテクトニクスがあるのに火星や金星には無いのかを知りたくて、何冊かプレートやマントル対流、太平洋に関する科学啓蒙書を読んでみましたが、よく分かりませんでした。既に分かっている事や歴史しか書いていなかったり、同じ現象を違う内容で説明していたりする事が分かりました。
つまり、研究者の著者の皆さんは狭い範囲での知見、又は、学説の進化がこの10年でもかなり早い分野なのだなという印象です。
そんな中、やっとこの本を読んで腑に落ちた気がします。2017年に発刊の本なので、2019年の今ではもう古い内容なのかもしれませんが、分かっていない事は分かっていないとはっきり書いてくれています。又、天文学と地球物理の分野としての違い、それを両方俯瞰しないと理解できない事があるという事を知りました。(一般の人は、その違いが分かっていません。。)
そういう意味では、何冊か読んだ本は地球物理学者の書かれた本だけだったかもしれません。
この本の著者は、たまたま両ジャンルの経験を持っていた事で、俯瞰が出来た様です。
・マントル対流自身は、水星、金星、火星でも起きているはずであるが、これらの惑星ではプレートテクトニクスは確認されていない。なぜ地球だけ表面が動くのかは大きな謎である。
・金星は地球の80%の質量のある惑星だが、その大気は90気圧もあり、惑星質量に応じた大気量になっていない。組成も、地球は窒素78%、酸素21%、アルゴン1%。地球本体も含め地球全体で考えると、窒素は太陽組成に比べて何ケタも少ないのだが、大気中では主成分になっている。地球では大気の質量は全体に比べて非常に小さくて、窒素は大気に集まっているから。酸素は極めて反応性が高く、化学平衡的には平衡と言えない。岩石や海と反応して酸素が取り除かれるのに、負けじと光合成生物がどんどん生産している。金星の大気は二酸化炭素96.5%、窒素3.5%。光合成生物がいない事で酸素は無く、プレートテクトニクスが働かない為、二酸化炭素がそのまま残っている。
・なぜ地球に磁場があるのかも分かっていない。地球の磁場はコア(Fe等が液体になっている外核部分)で発生している。熱により対流すると考えられてきたが、一番小さくコアが冷めやすいはずの水星と地球が磁場を持っており、火星、金星の磁場を持っていない。木星・土星のガス惑星、天王星・海王星の氷惑星も強い磁場を持つが、それらは水素層の流動で作られていると考えられている。
・1995年から太陽系外で惑星が見つかりだした。(系外惑星)
そのデータから、太陽系をは大違いで、水星軌道よりも太陽に近いような領域で、木星的な巨大惑星がいくつも観測されている。これにより、太陽系のイメージとは異なる惑星系が宇宙には沢山ありそうという事が分かってきた。
ちなみに、系外惑星の検出ではデータは1980年代から取れていたのだが、それがまさか恒星にごく近い距離の巨大惑星を表しているとは想像できなかった。一度、そういう太陽系ライクという思い込みを捨てたら、沢山の系外惑星が見つかりだした。既に数千の数になっている。但し、検出方法まだまだ発展途上で、今の方法だと太陽系の構成を遠くから見つける事はできそうもないレベル。
(ドップラー効果を使う視線速度法、惑星の影を使うトランジット法、惑星重力による空間の歪みを使うマイクロレンズ法。)
・系外惑星の実体より、過去に正しいと考えられてきていた惑星形成モデルでは通用しない事が分かってきた。
但し、円盤仮説は観測で沢山発見されて裏付けられた。一方、発見された惑星の中には、水素・ヘリウムよりも軽く見えるものや、木星クラスの巨大惑星なのに岩石で出来ているような質量と思えるものがある。
・発見された系外惑星では、楕円軌道を描いているものもかなりある。これは、大きなガス惑星が3以上誕生すると、その相互作用が起こる。3つだと1つは系外に飛び出させられ、残りの2つは恒星近くと遠くで楕円軌道になる。
よって、宇宙空間をさまよっている浮遊惑星は沢山できる。実際に重力マイクロレンズ観測によって木星質量クラスの光を発しない天体が多数、銀河系内をさまよっていることが発見されている。
・ハビタブルな星が、「水が液体で表面にいられる」という事ならば、浮遊惑星でもそういう状態の可能性はある。
地球の地熱の半分はマグマオーシャン時代の熱、半分は放射性物質の崩壊熱。 厚い温室効果被膜(大気など)があり、地熱があれば水が液体でいられる星は、恒星の熱が無くても成り立つ可能性がある。
上記以外でも色々な常識が覆る事が満載の本ですが、観測力の向上によって色々な事が分かるにつれ、ますます現状の宇宙はどうやって作られてきたのか、地球や太陽系はどうやって作られたのか、生命は、、という謎がますます深まってきています。今まで学校で教わってきた事はガラガラと音をたてて崩れつつあるようです。
しかも毎年毎年謎が深まっているという実態が良く分かり、とても面白いと思いました。とてもHOTだし、これからもっともっとエスカレーションしていくでしょう。
人類は、次の100年で太陽系開拓に入ると思いますが、それを考えて行くにもこの分野目が離せません。
また、色々と想像の羽根を広げる余地もありそうです。
つまり、研究者の著者の皆さんは狭い範囲での知見、又は、学説の進化がこの10年でもかなり早い分野なのだなという印象です。
そんな中、やっとこの本を読んで腑に落ちた気がします。2017年に発刊の本なので、2019年の今ではもう古い内容なのかもしれませんが、分かっていない事は分かっていないとはっきり書いてくれています。又、天文学と地球物理の分野としての違い、それを両方俯瞰しないと理解できない事があるという事を知りました。(一般の人は、その違いが分かっていません。。)
そういう意味では、何冊か読んだ本は地球物理学者の書かれた本だけだったかもしれません。
この本の著者は、たまたま両ジャンルの経験を持っていた事で、俯瞰が出来た様です。
・マントル対流自身は、水星、金星、火星でも起きているはずであるが、これらの惑星ではプレートテクトニクスは確認されていない。なぜ地球だけ表面が動くのかは大きな謎である。
・金星は地球の80%の質量のある惑星だが、その大気は90気圧もあり、惑星質量に応じた大気量になっていない。組成も、地球は窒素78%、酸素21%、アルゴン1%。地球本体も含め地球全体で考えると、窒素は太陽組成に比べて何ケタも少ないのだが、大気中では主成分になっている。地球では大気の質量は全体に比べて非常に小さくて、窒素は大気に集まっているから。酸素は極めて反応性が高く、化学平衡的には平衡と言えない。岩石や海と反応して酸素が取り除かれるのに、負けじと光合成生物がどんどん生産している。金星の大気は二酸化炭素96.5%、窒素3.5%。光合成生物がいない事で酸素は無く、プレートテクトニクスが働かない為、二酸化炭素がそのまま残っている。
・なぜ地球に磁場があるのかも分かっていない。地球の磁場はコア(Fe等が液体になっている外核部分)で発生している。熱により対流すると考えられてきたが、一番小さくコアが冷めやすいはずの水星と地球が磁場を持っており、火星、金星の磁場を持っていない。木星・土星のガス惑星、天王星・海王星の氷惑星も強い磁場を持つが、それらは水素層の流動で作られていると考えられている。
・1995年から太陽系外で惑星が見つかりだした。(系外惑星)
そのデータから、太陽系をは大違いで、水星軌道よりも太陽に近いような領域で、木星的な巨大惑星がいくつも観測されている。これにより、太陽系のイメージとは異なる惑星系が宇宙には沢山ありそうという事が分かってきた。
ちなみに、系外惑星の検出ではデータは1980年代から取れていたのだが、それがまさか恒星にごく近い距離の巨大惑星を表しているとは想像できなかった。一度、そういう太陽系ライクという思い込みを捨てたら、沢山の系外惑星が見つかりだした。既に数千の数になっている。但し、検出方法まだまだ発展途上で、今の方法だと太陽系の構成を遠くから見つける事はできそうもないレベル。
(ドップラー効果を使う視線速度法、惑星の影を使うトランジット法、惑星重力による空間の歪みを使うマイクロレンズ法。)
・系外惑星の実体より、過去に正しいと考えられてきていた惑星形成モデルでは通用しない事が分かってきた。
但し、円盤仮説は観測で沢山発見されて裏付けられた。一方、発見された惑星の中には、水素・ヘリウムよりも軽く見えるものや、木星クラスの巨大惑星なのに岩石で出来ているような質量と思えるものがある。
・発見された系外惑星では、楕円軌道を描いているものもかなりある。これは、大きなガス惑星が3以上誕生すると、その相互作用が起こる。3つだと1つは系外に飛び出させられ、残りの2つは恒星近くと遠くで楕円軌道になる。
よって、宇宙空間をさまよっている浮遊惑星は沢山できる。実際に重力マイクロレンズ観測によって木星質量クラスの光を発しない天体が多数、銀河系内をさまよっていることが発見されている。
・ハビタブルな星が、「水が液体で表面にいられる」という事ならば、浮遊惑星でもそういう状態の可能性はある。
地球の地熱の半分はマグマオーシャン時代の熱、半分は放射性物質の崩壊熱。 厚い温室効果被膜(大気など)があり、地熱があれば水が液体でいられる星は、恒星の熱が無くても成り立つ可能性がある。
上記以外でも色々な常識が覆る事が満載の本ですが、観測力の向上によって色々な事が分かるにつれ、ますます現状の宇宙はどうやって作られてきたのか、地球や太陽系はどうやって作られたのか、生命は、、という謎がますます深まってきています。今まで学校で教わってきた事はガラガラと音をたてて崩れつつあるようです。
しかも毎年毎年謎が深まっているという実態が良く分かり、とても面白いと思いました。とてもHOTだし、これからもっともっとエスカレーションしていくでしょう。
人類は、次の100年で太陽系開拓に入ると思いますが、それを考えて行くにもこの分野目が離せません。
また、色々と想像の羽根を広げる余地もありそうです。
2019年6月29日土曜日
【本】地球46億年気候大変動 横山祐典 講談社 ブルーバックス
地球が誕生してから、その表面の気候は絶えず変化を遂げてきた。それを、最新(2018年発刊)の知見で説明してくれる本です。
隕石が絶え間なく降り注ぐマグマオーシャンから始まって、全球凍結したスノーボールアースなどを経て、現時点はどういうタイミングになるのか。
どうやって大昔の事を推測するのか等、科学知見の辿った筋道含めて説明してくれています。
何故 地球には酸素があって、火星や金星には無いのかなどは、今までは生物が誕生できる水の問題かと漠然と思っていましたが、それだけではない(火星にも以前 水はあったし)という理屈を初めて知りました
へー と思った点を書き出してみます。
・気候を考えていく上で、数百万年までの短い(!)時間スケールで重要な大気海洋雪氷圏を「エキソジェニックシステム」と呼び、1000万年を超える超長期スケールで、バックグラウンドで気候の形成を担っている固体地球(核、マントル、地殻など含む)を「エンドジェニックシステム」と呼んでいる。
この2つの作用がいつも同時に働いている。
・過去の気温もある程度分かってきている。
46億年~25億年前の太古代、20億年前の頃、10億~5億年前のカンブリア紀、おルドビス紀、4億年前デボン紀、1億年前白亜紀(恐竜がいた)などは、現在よりも10度ぐらい気温が高かった。
直近の過去65万年では、気温の上下は色々あるが、氷期と氷期の間に間氷期が短くあり、現在は第5番目の間氷期。
・地球を「生命の星」にした2回の酸化イベント(GOEとNOE)があった。
金星、火星の大気には酸素はほとんど無く、二酸化炭素が95%以上を占めている。
地球も40億年前は酸素濃度は現在の10万分の1だった。
それが、GOE(great oxidation event)が25~20憶年前の期間に起こって一気に現在の100分の1のレベルまで増加した。次は5~7憶年前にNOE(Neoproterozoic Oxygenation Event)が起こり、ほぼ現在の酸素濃度になった。
GOEは、プレートテクニクスによって引き起こされた。
プレートテクニクスは金星、火星では起こっておらず地球独特のメカニズム。
地殻がマグマから出来た時は、苦鉄質岩(玄武岩)だった。それは鉄やマグネシウムを多く含むので、シアノバクテリアが発生する酸素も直ぐに酸化反応で地殻に取り込まれてしまう。ところが、プレートテクトニクスでプレートが沈み込むと同時に大量の水をマントルに運び込むのでマントルにて苦鉄質岩からケイ素や酸素に富んだケイ長質岩(花崗岩や流紋岩)が生成され、大陸地殻がケイ長質岩にとって変わられた事で岩による酸素吸着が急速に減少したため。
NOEもプレートテクトニクスによって、大陸とその周りの広い浅瀬が出来た事により有機物が分解せずに地表近辺に蓄積され、そこから二酸化炭素が沢山供給される事でさらに光合成が活性化されて起こった。
・NOEが終わり大気に酸素が増えた5億年前に、生物進化が一気に加速するカンブリア爆発が起こった。
・恐竜の時代は超温暖化時代だった。南極にも北極にも氷がないグリーンハウス・アース状態。炭酸ガス濃度は現在の3~6倍。
白亜紀は特異的に火山活動が活発な時期だった事が海底火山で分かる。その火山性炭酸ガス。又、海面が上がっていたために非常に広い浅瀬地域が出来、そこで作られた炭酸塩岩(サンゴなどから)が、マグマと合わさって炭酸ガスの放出もある。
・でもその後、急激な寒冷化が始まった。
これも地殻変動で、造山活動によりできた新しい岩達の風化により二酸化炭素が吸収された為と考えられる。
・ミランコビッチサイクルーーこれは有名な話なのでここでは割愛。
地球公転軌道の離心率、自転軸の傾き、歳差運動により、2,4,10年サイクルで気候に変動を与える。
・海は熱輸送だけでなく、二酸化炭素を捕集しておく大きな器。
深層海流などで熱の分配がおこり気候に影響を与えている。(熱塩循環)
グリーンランド沖と南極近郊で海水が冷やされ+塩分濃度アップ=比重アップで海水が深層に流れ込む滝を作っている。
グリーンランドの氷河が溶けて、真水が沢山供給されるとこの熱塩循環が弱まり、北半球は寒冷化、、南半球は温暖化 が起こる。
以上
現在の気候や酸素生命圏を生み出しているのがプレートテクトニクスの作用だというのは面白いと思いました。
一方で、なぜ地球だけにプレートテクトニクスが起こったのか、起こり続けているのかも知りたくなりました。月の存在が関係するのかな?
隕石が絶え間なく降り注ぐマグマオーシャンから始まって、全球凍結したスノーボールアースなどを経て、現時点はどういうタイミングになるのか。
どうやって大昔の事を推測するのか等、科学知見の辿った筋道含めて説明してくれています。
何故 地球には酸素があって、火星や金星には無いのかなどは、今までは生物が誕生できる水の問題かと漠然と思っていましたが、それだけではない(火星にも以前 水はあったし)という理屈を初めて知りました
へー と思った点を書き出してみます。
・気候を考えていく上で、数百万年までの短い(!)時間スケールで重要な大気海洋雪氷圏を「エキソジェニックシステム」と呼び、1000万年を超える超長期スケールで、バックグラウンドで気候の形成を担っている固体地球(核、マントル、地殻など含む)を「エンドジェニックシステム」と呼んでいる。
この2つの作用がいつも同時に働いている。
・過去の気温もある程度分かってきている。
46億年~25億年前の太古代、20億年前の頃、10億~5億年前のカンブリア紀、おルドビス紀、4億年前デボン紀、1億年前白亜紀(恐竜がいた)などは、現在よりも10度ぐらい気温が高かった。
直近の過去65万年では、気温の上下は色々あるが、氷期と氷期の間に間氷期が短くあり、現在は第5番目の間氷期。
・地球を「生命の星」にした2回の酸化イベント(GOEとNOE)があった。
金星、火星の大気には酸素はほとんど無く、二酸化炭素が95%以上を占めている。
地球も40億年前は酸素濃度は現在の10万分の1だった。
それが、GOE(great oxidation event)が25~20憶年前の期間に起こって一気に現在の100分の1のレベルまで増加した。次は5~7憶年前にNOE(Neoproterozoic Oxygenation Event)が起こり、ほぼ現在の酸素濃度になった。
GOEは、プレートテクニクスによって引き起こされた。
プレートテクニクスは金星、火星では起こっておらず地球独特のメカニズム。
地殻がマグマから出来た時は、苦鉄質岩(玄武岩)だった。それは鉄やマグネシウムを多く含むので、シアノバクテリアが発生する酸素も直ぐに酸化反応で地殻に取り込まれてしまう。ところが、プレートテクトニクスでプレートが沈み込むと同時に大量の水をマントルに運び込むのでマントルにて苦鉄質岩からケイ素や酸素に富んだケイ長質岩(花崗岩や流紋岩)が生成され、大陸地殻がケイ長質岩にとって変わられた事で岩による酸素吸着が急速に減少したため。
NOEもプレートテクトニクスによって、大陸とその周りの広い浅瀬が出来た事により有機物が分解せずに地表近辺に蓄積され、そこから二酸化炭素が沢山供給される事でさらに光合成が活性化されて起こった。
・NOEが終わり大気に酸素が増えた5億年前に、生物進化が一気に加速するカンブリア爆発が起こった。
・恐竜の時代は超温暖化時代だった。南極にも北極にも氷がないグリーンハウス・アース状態。炭酸ガス濃度は現在の3~6倍。
白亜紀は特異的に火山活動が活発な時期だった事が海底火山で分かる。その火山性炭酸ガス。又、海面が上がっていたために非常に広い浅瀬地域が出来、そこで作られた炭酸塩岩(サンゴなどから)が、マグマと合わさって炭酸ガスの放出もある。
・でもその後、急激な寒冷化が始まった。
これも地殻変動で、造山活動によりできた新しい岩達の風化により二酸化炭素が吸収された為と考えられる。
・ミランコビッチサイクルーーこれは有名な話なのでここでは割愛。
地球公転軌道の離心率、自転軸の傾き、歳差運動により、2,4,10年サイクルで気候に変動を与える。
・海は熱輸送だけでなく、二酸化炭素を捕集しておく大きな器。
深層海流などで熱の分配がおこり気候に影響を与えている。(熱塩循環)
グリーンランド沖と南極近郊で海水が冷やされ+塩分濃度アップ=比重アップで海水が深層に流れ込む滝を作っている。
グリーンランドの氷河が溶けて、真水が沢山供給されるとこの熱塩循環が弱まり、北半球は寒冷化、、南半球は温暖化 が起こる。
以上
現在の気候や酸素生命圏を生み出しているのがプレートテクトニクスの作用だというのは面白いと思いました。
一方で、なぜ地球だけにプレートテクトニクスが起こったのか、起こり続けているのかも知りたくなりました。月の存在が関係するのかな?
2019年6月27日木曜日
【心と身体】コーヒーショップだと集中して読める。 BGMの効果
以前から、家の自室で本を読むのと街のコーヒーショップで本を読むのでは、コーヒーショップの方がはるかに集中して、早く読める事を感じていました。
自室で読んでいると、もっと楽な姿勢があるのでは?とか、ついスマホやパソコンに逸れてしまったり、コーヒーもがぶ飲みしてしまったりとか、兎に角 1冊の本を一度に読み切ってしまう事がなかなかできません。
でも、コーヒーショップだと、1-2時間で1冊以上読み終わってしまう事も。
自分はケチだから、料金を払っているお店では元を取らなくてはと潜在意識の中で思っているのでは? などど分析してみたりしていました。
でも、ある時フト、これはカフェの雑音が逆に集中力を上げてくれているのでは?と考えました。
そこで、ユーチューブで日本のカフェの音という動画があるので(本当にユーチューブには色々な物がありますね9、それを自室で再生しながら本を読んでみました。
すると、、、集中力が上がるのです。
途中で、他の事に気を取られる事も少ない。
それが分かってからは、もうお金を払ってカフェで本を読むのではなく、自室で自分で好きに入れたコーヒーを飲みながら、カフェの音を流して読むようになりました。
BGMの効果は凄いです。
寝る時も、海岸の波の音(これもユーチューブ)を耳元で小さく流すと、本当に1分もたたないうちに寝てしまいます。
色々なシーンで、どういう音が効果を出すのか 今後も見つけていけるかもしれませんね。楽しみです。
自室で読んでいると、もっと楽な姿勢があるのでは?とか、ついスマホやパソコンに逸れてしまったり、コーヒーもがぶ飲みしてしまったりとか、兎に角 1冊の本を一度に読み切ってしまう事がなかなかできません。
でも、コーヒーショップだと、1-2時間で1冊以上読み終わってしまう事も。
自分はケチだから、料金を払っているお店では元を取らなくてはと潜在意識の中で思っているのでは? などど分析してみたりしていました。
でも、ある時フト、これはカフェの雑音が逆に集中力を上げてくれているのでは?と考えました。
そこで、ユーチューブで日本のカフェの音という動画があるので(本当にユーチューブには色々な物がありますね9、それを自室で再生しながら本を読んでみました。
すると、、、集中力が上がるのです。
途中で、他の事に気を取られる事も少ない。
それが分かってからは、もうお金を払ってカフェで本を読むのではなく、自室で自分で好きに入れたコーヒーを飲みながら、カフェの音を流して読むようになりました。
BGMの効果は凄いです。
寝る時も、海岸の波の音(これもユーチューブ)を耳元で小さく流すと、本当に1分もたたないうちに寝てしまいます。
色々なシーンで、どういう音が効果を出すのか 今後も見つけていけるかもしれませんね。楽しみです。
2019年6月26日水曜日
【本】理化学研究所 山根一眞 講談社ブルーバックス
科学技術系の文を沢山書かれてきている山根さんが理化学研究所を訪問してその「今」を明らかにする。との事。
勿論、理化学研究所はこんなにスゴイ、魅力イッパイだとPRする様に書くという狙いの本である事は間違いないと思うのですが、それでも そんな事もやっているのか、出来るかもしれないのか、、と驚きのある本でした。
何にも知らなかったので理化学研究所って、何となく特定の企業とつるんでいる印象の、官だか民だか分かり難い研究機関というイメージを私は持っていました。
その歴史をこの本で知りました。以前のトップが研究成果を商品化して、そのライセンス料で研究費を稼いで自由に独立して研究できるようにしていこうという発想で、取り組んで来た組織とのこと。
理研ビタミン社の「ふえるわかめちゃん」
株式会社リケンのピストンリング
株式会社リコーの複写機
など
理化学研究所からの商品や企業が生まれてきました。
今も、色々な企業や機関との共同研究も盛んにやられている様子。
現在の理化学研究所でのトピックスとしては、、
・世界1の規模のサイクロトロンを保有
新しい元素を発見できる。周期律表で113番目の元素を合成、ニホニウムと命名。
研究を進めると原子力発電所での使用済み核燃料も、中性子をあてて放射線を出さない物質に消滅処理を行える可能性がある。
生物に重イオンビームを照射して、突然変異を多発させて色々な品種を作る事ができる。
・世界最強の放射光施設 スプリングエイトを持つ =スーパー顕微鏡
光合成を担う触媒の姿が明らかになった
・X線自由電子レーザー施設SACLAを持つ
太陽の光の100億倍x10億倍の強力光パワー。超解像度。
光合成の触媒の原子構造も解析できた。
・スパコン「京」を持つ
放射光分析と京の計算能力を使い、住友ゴムはとんでもなく省エネなタイヤを開発。
・バイオリソース拠点を持つ
細胞や遺伝子を凍結保存等して集め、保管、増殖し販売する。
実験用マウス 7818系統
細胞 1万855株
微生物材料 2万5176株
遺伝子材料 380万8264株
・IPS細胞を使って、再生医療の目途。加齢黄斑変性症。
3次元の臓器作成。--ハゲ、歯の再生医療の目途。
・固体の水 アクアジョイント
等。
これ以外にも、テラヘルツとか量子コンピュータとか、ポピュラーなテーマの技術研究もしているらしい。
本 1冊を通して、とにかく 理研は元気! というイメージを持ちました。
理科系の中高生あたりが読むと啓発されそうです。
私は、核廃棄物を無害化できる可能性という話が目からウロコの驚きでした。
勿論、理化学研究所はこんなにスゴイ、魅力イッパイだとPRする様に書くという狙いの本である事は間違いないと思うのですが、それでも そんな事もやっているのか、出来るかもしれないのか、、と驚きのある本でした。
何にも知らなかったので理化学研究所って、何となく特定の企業とつるんでいる印象の、官だか民だか分かり難い研究機関というイメージを私は持っていました。
その歴史をこの本で知りました。以前のトップが研究成果を商品化して、そのライセンス料で研究費を稼いで自由に独立して研究できるようにしていこうという発想で、取り組んで来た組織とのこと。
理研ビタミン社の「ふえるわかめちゃん」
株式会社リケンのピストンリング
株式会社リコーの複写機
など
理化学研究所からの商品や企業が生まれてきました。
今も、色々な企業や機関との共同研究も盛んにやられている様子。
現在の理化学研究所でのトピックスとしては、、
・世界1の規模のサイクロトロンを保有
新しい元素を発見できる。周期律表で113番目の元素を合成、ニホニウムと命名。
研究を進めると原子力発電所での使用済み核燃料も、中性子をあてて放射線を出さない物質に消滅処理を行える可能性がある。
生物に重イオンビームを照射して、突然変異を多発させて色々な品種を作る事ができる。
・世界最強の放射光施設 スプリングエイトを持つ =スーパー顕微鏡
光合成を担う触媒の姿が明らかになった
・X線自由電子レーザー施設SACLAを持つ
太陽の光の100億倍x10億倍の強力光パワー。超解像度。
光合成の触媒の原子構造も解析できた。
・スパコン「京」を持つ
放射光分析と京の計算能力を使い、住友ゴムはとんでもなく省エネなタイヤを開発。
・バイオリソース拠点を持つ
細胞や遺伝子を凍結保存等して集め、保管、増殖し販売する。
実験用マウス 7818系統
細胞 1万855株
微生物材料 2万5176株
遺伝子材料 380万8264株
・IPS細胞を使って、再生医療の目途。加齢黄斑変性症。
3次元の臓器作成。--ハゲ、歯の再生医療の目途。
・固体の水 アクアジョイント
等。
これ以外にも、テラヘルツとか量子コンピュータとか、ポピュラーなテーマの技術研究もしているらしい。
本 1冊を通して、とにかく 理研は元気! というイメージを持ちました。
理科系の中高生あたりが読むと啓発されそうです。
私は、核廃棄物を無害化できる可能性という話が目からウロコの驚きでした。
2019年6月25日火曜日
【本】アメリカの大学の裏側 アキ・ロバーツ 竹内洋 朝日新書
最近、日本の大学の入試裏操作や、博士取得がどんどん減っていたり、研究者は非常に不安定な生活を送っている等の話を良く聞きます。一方、ノーベル賞を取った研究者はアメリカに渡った人が多かったり、アメリカの大学と研究は質が高そうというイメージがあります。
この本は、親娘での共著になっており、アキさんはウィスコンシン大学のテニュア(終身雇用)准教授をされています。米国大学事情をマスコミ的に伝えるのではなく内側から見た赤裸々な姿として教えてくれます。
この本を読んで、アメリカの大学ビジネス(?)の事情が理解できたのと同時に、ボンヤリ今まで持っていたイメージの裏側が見えてきました。
読んで、私が エッ! そうだったの?と思った点を書いてみます。
・アメリカ人は大学教授にあまりいい印象を持っていない。
終身雇用がほぼ約束されるテニュアを持つ大学教授に風当たりが強い。アメリカの一般企業は解雇が日常茶飯事で行われる。雇用が不安定なアメリカではテニュアは特権階級的にとられるのも否めない。又、インテリ層の大学教授は浮世離れしていて、大学の講義内容なども現実社会では全く応用性がないと思っている人は多い。
テニュアを排斥しようとしている州もある。
・大学世界ランキングが発表されているが、TOPは英語圏の欧米で占められている。審査では論文の「引用度」が大きな割合を占めるが、英語が公用語でない日本は圧倒的に不利になる。引用頻度の審査対象とされる学術誌は殆どが欧米で占められている。
・アメリカの学部生にとっての「名門」大学は、アイビー・リーグ。ブラウン大学、コロンビア大学、コーネル大学、ダートマス大学、ハーバード大学、ペンシルベニア大学、プリンストン大学、イェール大学の8校、全て私立。
・1975年ではテニュア教授が45%いたが、今は25%以下に減っており、非常勤講師などが4倍に増えている。テニュアの募集には非常に大人数が集まるので、エリート大学出身者以外が足切りされる事が多い。結果、テニュア職員間のネットワークはエリート大出身者になって行き、さらに有利になる。
・優秀な人材を確保する為に、「配偶者雇用」を実施している大学もある。
・アメリカの大学の授業料はどんどん上がってきている。アイビーリーグげは平均年5万$=500万円。カナダの大学の方が安く、内容も悪くないので、アメリカの高校生はカナダの大学に行くことも。
・国や州からの公的資金が減らせれてきているのも、授業料高騰の原因の一つ。LGBT対応など新しく付加しなくてばいけないサービスも増えている。
・エリート私立大学は、巨額の寄付金を集めるので裕福。
それらは気前よく奨学金を出す。低所得家庭出身の学生の大学資金を支援する事で、裕福な学生ばかりを優先入学させて階級の再生産を促しているという悪いイメージを払拭しようとしている。しかし、低所得という定義は世間離れしており、アメリカの平均世帯所得が5万$なのに、6万5千$を基準としている。授業料だけでなく大学生活にかかる費用は全額カバーしてくれる。返済不要。
・通常の大学は破産しはじめる所もでてきている。又、一般学生は2/3が奨学金ローンを抱えて、ローン地獄に。
・名門大学では、学業の成績が良くないといけない。しかし、それだけとは限らない。学力だけでなく、学生の個性や人物の全体像を評価するホリスティック入試をおkなっている。ホリスティック入試では、貧困層出身者(親が大卒でなく、初めて大学に進学せうる世代=First Generation)、運動や芸能に優れた才能、リーダーシップ力、ポランティア活動など、ユニークな人生経験、親や近い親戚にその大学の卒業生がいる事などが有利とされる。それに加えて、「アフォーマティブ・アクション」と呼ばれる積極的差別是正措置でマイノリティ人種入学を優先する所もある。
・親や近い親戚にその大学の卒業生がいるのは「レガシー」と呼ばれて、合格率は一般生に比べてハーバードでは5倍になる。さらに、お金持ちの子供は、運動、芸能、ボランティア、色々な経験などをするゆとりがあり、有利になる。
・アメリカの政財界のリーダーの半分はわずか12校の名門大学卒で占められている。
そして、過去、名門校はWASP(アングロサクソン系プロテスタント白人)と呼ばれる支配階級の白人が占めていた。ところがユダヤ系やカトリックの生徒が高成績で入ってくる様になり、それらに乗っ取られないようにホリスティック入試を考え出したという経緯がある。
・ホリスティック入試で実際に一番威力があるのがスポーツ選手、次がマイノリティ人種、レガシーと早期決断応募者、ファーストジェネレーションの学生の順で、貧困層出身というのは殆ど恩恵がない。
ちなみに、アジア系は勉強が出来るのでマイノリティではなく白人扱いになっている。
・”アメリカの大学は入学は簡単だが、卒業が難しい”と言われるが、それは勉強が難しいからという事ではない。エリート校にマイノリティ枠で入って学力が劣る生徒たちも、しっかり奨学金をもらって生活して白人とかわらない90%以上の卒業率になっている。一方、一般大学の学生は、途中で経済的に続けられなくなり卒業できないというのが実態。
・アメリカの大学では、ABCDFの成績評価で、C以上が合格だが。殆どはAしかとらない。これは「成績のインフレ」。Bとか付けると生徒から先生が問い詰められる。そいうクレームが先生の大学からの評価にも影響するという事で、インフレさせて丸く収める風潮とのこと。4年生大学で、42%の成績がAになる。
学生は「お客様」扱いになってきている。
ポイント抽出は以上
これらの中で、特に驚いたのは「入学は簡単だが卒業は難しい」というのが経済的理由だったという話。私は、てっきり厳しい勉学を習得しないと卒業できないという制度なのかなと誤解していました。 ナーンダという印象。
アメリカの大学は、商売=ビジネス の色が濃いのだとこの本で良く分かりました。
現在の日本の大学はどうなのか? 公費支給を削って削って、期限付き雇用がどんどん増えてきている日本の大学も、アメリカ化まっしぐらに進んでいるのではという気がしました。
この本は、親娘での共著になっており、アキさんはウィスコンシン大学のテニュア(終身雇用)准教授をされています。米国大学事情をマスコミ的に伝えるのではなく内側から見た赤裸々な姿として教えてくれます。
この本を読んで、アメリカの大学ビジネス(?)の事情が理解できたのと同時に、ボンヤリ今まで持っていたイメージの裏側が見えてきました。
読んで、私が エッ! そうだったの?と思った点を書いてみます。
・アメリカ人は大学教授にあまりいい印象を持っていない。
終身雇用がほぼ約束されるテニュアを持つ大学教授に風当たりが強い。アメリカの一般企業は解雇が日常茶飯事で行われる。雇用が不安定なアメリカではテニュアは特権階級的にとられるのも否めない。又、インテリ層の大学教授は浮世離れしていて、大学の講義内容なども現実社会では全く応用性がないと思っている人は多い。
テニュアを排斥しようとしている州もある。
・大学世界ランキングが発表されているが、TOPは英語圏の欧米で占められている。審査では論文の「引用度」が大きな割合を占めるが、英語が公用語でない日本は圧倒的に不利になる。引用頻度の審査対象とされる学術誌は殆どが欧米で占められている。
・アメリカの学部生にとっての「名門」大学は、アイビー・リーグ。ブラウン大学、コロンビア大学、コーネル大学、ダートマス大学、ハーバード大学、ペンシルベニア大学、プリンストン大学、イェール大学の8校、全て私立。
・1975年ではテニュア教授が45%いたが、今は25%以下に減っており、非常勤講師などが4倍に増えている。テニュアの募集には非常に大人数が集まるので、エリート大学出身者以外が足切りされる事が多い。結果、テニュア職員間のネットワークはエリート大出身者になって行き、さらに有利になる。
・優秀な人材を確保する為に、「配偶者雇用」を実施している大学もある。
・アメリカの大学の授業料はどんどん上がってきている。アイビーリーグげは平均年5万$=500万円。カナダの大学の方が安く、内容も悪くないので、アメリカの高校生はカナダの大学に行くことも。
・国や州からの公的資金が減らせれてきているのも、授業料高騰の原因の一つ。LGBT対応など新しく付加しなくてばいけないサービスも増えている。
・エリート私立大学は、巨額の寄付金を集めるので裕福。
それらは気前よく奨学金を出す。低所得家庭出身の学生の大学資金を支援する事で、裕福な学生ばかりを優先入学させて階級の再生産を促しているという悪いイメージを払拭しようとしている。しかし、低所得という定義は世間離れしており、アメリカの平均世帯所得が5万$なのに、6万5千$を基準としている。授業料だけでなく大学生活にかかる費用は全額カバーしてくれる。返済不要。
・通常の大学は破産しはじめる所もでてきている。又、一般学生は2/3が奨学金ローンを抱えて、ローン地獄に。
・名門大学では、学業の成績が良くないといけない。しかし、それだけとは限らない。学力だけでなく、学生の個性や人物の全体像を評価するホリスティック入試をおkなっている。ホリスティック入試では、貧困層出身者(親が大卒でなく、初めて大学に進学せうる世代=First Generation)、運動や芸能に優れた才能、リーダーシップ力、ポランティア活動など、ユニークな人生経験、親や近い親戚にその大学の卒業生がいる事などが有利とされる。それに加えて、「アフォーマティブ・アクション」と呼ばれる積極的差別是正措置でマイノリティ人種入学を優先する所もある。
・親や近い親戚にその大学の卒業生がいるのは「レガシー」と呼ばれて、合格率は一般生に比べてハーバードでは5倍になる。さらに、お金持ちの子供は、運動、芸能、ボランティア、色々な経験などをするゆとりがあり、有利になる。
・アメリカの政財界のリーダーの半分はわずか12校の名門大学卒で占められている。
そして、過去、名門校はWASP(アングロサクソン系プロテスタント白人)と呼ばれる支配階級の白人が占めていた。ところがユダヤ系やカトリックの生徒が高成績で入ってくる様になり、それらに乗っ取られないようにホリスティック入試を考え出したという経緯がある。
・ホリスティック入試で実際に一番威力があるのがスポーツ選手、次がマイノリティ人種、レガシーと早期決断応募者、ファーストジェネレーションの学生の順で、貧困層出身というのは殆ど恩恵がない。
ちなみに、アジア系は勉強が出来るのでマイノリティではなく白人扱いになっている。
・”アメリカの大学は入学は簡単だが、卒業が難しい”と言われるが、それは勉強が難しいからという事ではない。エリート校にマイノリティ枠で入って学力が劣る生徒たちも、しっかり奨学金をもらって生活して白人とかわらない90%以上の卒業率になっている。一方、一般大学の学生は、途中で経済的に続けられなくなり卒業できないというのが実態。
・アメリカの大学では、ABCDFの成績評価で、C以上が合格だが。殆どはAしかとらない。これは「成績のインフレ」。Bとか付けると生徒から先生が問い詰められる。そいうクレームが先生の大学からの評価にも影響するという事で、インフレさせて丸く収める風潮とのこと。4年生大学で、42%の成績がAになる。
学生は「お客様」扱いになってきている。
ポイント抽出は以上
これらの中で、特に驚いたのは「入学は簡単だが卒業は難しい」というのが経済的理由だったという話。私は、てっきり厳しい勉学を習得しないと卒業できないという制度なのかなと誤解していました。 ナーンダという印象。
アメリカの大学は、商売=ビジネス の色が濃いのだとこの本で良く分かりました。
現在の日本の大学はどうなのか? 公費支給を削って削って、期限付き雇用がどんどん増えてきている日本の大学も、アメリカ化まっしぐらに進んでいるのではという気がしました。
2019年6月22日土曜日
【進化途中?】最近の路線バス
最近の路線バスに乗ると、とても使いづらいと感じます。
乗りたくないな、、と。
いわゆるノンステップバスというやつですね。
シニアが使い易い様に、低床にして前半部はシニア向けの座席や車いすスペースを作っています。その反面、後半分は段々と高くなる床で狭い2人掛け用ベンチシートが並んでいる。
考え方は、理解はできます。
昼間の乗客の大半はシニア層なので、シニアが乗りやすい構造にしているというのですね。しかし、現役世代はそうとう出入りや居住性の悪い座席レイアウトを強いられる事になっています。
でも、シニアの人数は益々増えて、後半分にもシニアが座る様になりつつあります。
そいう人を見ると、ただでさえ危ない足元が本当に危ない。
全世代が気持ちよく乗れる路線バスに早く移行して欲しいなと思います。
技術としては、電気自動車(EV)化して、インホイールモータ等を採用すれば全面低床で、電車の様に長いベンチシートの構造のバスが今でも十分作れるはず。
そうなれば、全てがシニア向けかつ現役向けの席として使えます。
経済性で、、とかバス会社側の理屈はあるのだと思いますが。
高齢者免許返納のムーブメントもありますし、良いバスが走ればお客数も必ず増えると思います。
まだまだ進化途中という事ですね。
乗りたくないな、、と。
いわゆるノンステップバスというやつですね。
シニアが使い易い様に、低床にして前半部はシニア向けの座席や車いすスペースを作っています。その反面、後半分は段々と高くなる床で狭い2人掛け用ベンチシートが並んでいる。
考え方は、理解はできます。
昼間の乗客の大半はシニア層なので、シニアが乗りやすい構造にしているというのですね。しかし、現役世代はそうとう出入りや居住性の悪い座席レイアウトを強いられる事になっています。
でも、シニアの人数は益々増えて、後半分にもシニアが座る様になりつつあります。
そいう人を見ると、ただでさえ危ない足元が本当に危ない。
全世代が気持ちよく乗れる路線バスに早く移行して欲しいなと思います。
技術としては、電気自動車(EV)化して、インホイールモータ等を採用すれば全面低床で、電車の様に長いベンチシートの構造のバスが今でも十分作れるはず。
そうなれば、全てがシニア向けかつ現役向けの席として使えます。
経済性で、、とかバス会社側の理屈はあるのだと思いますが。
高齢者免許返納のムーブメントもありますし、良いバスが走ればお客数も必ず増えると思います。
まだまだ進化途中という事ですね。
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