日韓問題を理解する一つの材料として、どういう教育がなされているのかを垣間見えるかと思い見てみました。
ザっと目を通したのですが、先史の石器時代から2003年までが載っています。
殆どが政治がらみの話で、文化面などがあまり出ていない事と年表が少ない事にアレっと思いました。文化面は副読本があるのかもしれません。
日本の日本史の授業はXX年に○○の乱で誰それが、、というのがメインだった気がします(それはテストにしか関心がなかった私だけの印象?)。
それに比べて年号の記述は少ないなと思いました。一方で、誰がどういう考えで何をしたのか、それは政治外交的にはどいう意味を持っていたのかという事はかなり細かく書かれています。ですから、暗記教科というよりも、歴史の流れ理解教科なんだと思いました。
大陸の一部である朝鮮半島は、絶えず隣国との勢力争いで翻弄される歴史を持っていて、主権を誰がどう持ったのか、誰がどう横やりをいれて動いていったのかという事がずっと書かれています。 島国の日本に比べて、絶えずシビアな状況で暮らしてきたという事が分かります。
340ページぐらいの厚い教科書なのですが、日本でペリーが開国を迫った頃、朝鮮に対しても欧米が開国を迫っています。その明治維新ぐらいの事項のかかれているページが188ページ目。そこからの近・現代史で、教科書の半分弱を使っています。
日本の敗戦、大韓民国成立(1948年)は296ページ目になります。
朝鮮半島の中で分裂や統一という歴史がずっと続いてきますが、日本の朝鮮併合時代は、年表上「日帝強占期」という表現で翻訳されいます。
当たり前ですが、抗日の志士とその活動について詳しくかかれています。
民族の受難という章では、
・皇帝を強制退位させた日帝は、親日派を使い、日本に併合して欲しいという請願書を発表させた。これにより合邦条約を締結した。
・国権を強奪した日帝は憲兵警察統治をし、あらゆる政治活動を禁止。彼らの植民地支配におとなしく従う韓国人をつくる教育政策を推し進めた。
・3.1運動がおこると、韓民族の文化と慣習を尊重し、韓国人の利益を大事にするという、いわゆる文化統治を掲げた。しかし、このような日帝の新しい政策は親日派を養ってわが民族を仲たがいさせ、分裂させようとする狡猾な政策であり、韓民族の団結を抑え独立運動をくい止めようとする方針に変わりがなかった。
・土地の収奪を積極的に推し進めた。土地調査事業という事で、地主の所有権は認められたが、耕作権や開墾権など農民がもっていた各種権利は徹底して否定され大多数の農民の急速な没落をもたらした。
・産業の侵奪
日本の金融機関が入り、韓国人が会社を設立する時に必ず朝鮮総督の許可を受ける様に規定した。朝鮮人参、塩、タバコなどは専売制度を実施して朝鮮総督府の収入とした。莫大な森林も朝鮮総督府と日本人の所有となり、森林資源が略奪された。金、銀、タングステン、石炭などの鉱山と韓国沿岸の主要漁場も、日本人がほとんど独占的に支配した。こうして、日帝は韓国の産業に対する侵奪を積極的におし進め、韓国を大陸侵略の足掛かりとするため、鉄道を道路、港湾と通信などの施設を整えた。
・食料収奪 略
・民族抹殺政策
太平洋戦争に戦時動員体制を発動して、わが民族を戦場に動員した。日鮮同祖論を主張し、韓国語の使用を禁じ、名前までも日本式に変えるように強要。
・物的・人的資源の収奪
日帝の侵略戦争(太平洋戦争)によってわが国は戦争物資を補給する兵站基地に変わった。日帝は物資を生産するため韓半島に金属、機械、化学系統の軍需工場を建設し、鉄、石炭、タングステンなど地下資源の増産を促した。また、供出という名で食料ばかりか各種の物質を強制的に略奪した。戦争の終盤にはくず鉄、真鍮の器、さじとはし、くぎなど武器を作る材料は何であれ奪い、飛行機の燃料として使用するため松の皮をはがして松脂をとらせるまでした。
物的な略奪だけをほしいままにしたのではなかった。日帝は韓国人を強制徴用によって連行し、鉱山や工場で辛い労働を強要し、志願兵制度と学徒兵制、徴兵制を実施して多くの青年たちを戦場に追いやった。
日帝は女性たちも勤労報国隊、女子勤労挺身隊などの名で連行し、労働力を搾取した。さらに多くの数の女性を強制的に動員して、日本軍が駐屯しているアジアの各地域に送って軍隊慰安婦として非人間的な生活をさせた。
(軍隊慰安婦とは韓国、中国、フィリピンなど、日本の植民地や占領地で日本軍によって強制的に戦場につれていかれ、性奴隷の生活を強要された女性たちをさす言葉である。1930年代はじめから行われたこのような蛮行は、1945年に日帝が敗北するまで続いた)
朝鮮戦争後の韓日協定の所は、
朴政府は祖国の近代化を掲げ、工業化を第一の課題とする成長中心の経済政策を積極的に推し進めていった。また、民主友邦との結びつきを強化する一方、中立国と外交関係を樹立するため努力するなど、積極的な外交活動を展開した。そうして長い間宿題となっていた日本との関係を改善して韓日協定を締結し、ベトナムに国軍を派兵した。(賠償金の話はどは一切でていない。)
という感じで記載されています。
どの国も、自国から見た歴史、政権にとって都合の良い書き方をすると思うので、こういう記述になっている事自体は理解できます。
但し、この教科書で勉強した韓国の学生は、日本は極悪かつ、お詫びも補償も何もしていないと思っても無理はないです。
日本人からすると、日本国内で日本人に対しても同様な事が行われていたのでは、、という感想も持ちますが、他民族から強要されたというのは感じ方が全く事なるでしょう。そういう視点を持つことは必要ですね。
とにかく、韓国の歴史教科書は近代・現代史に比重を置いた書き方になっている事が最も大きな印象です。
今だ朝鮮戦争が休戦という形で継続している朝鮮の人にとっては、近代・現代は「歴史」ではないのでしょう。