・41才 女 出版社勤務
韓国は海外旅行ブームで、突出して日本旅行が多い。韓国ウォンと円の為替が後押ししている。こうした日本旅行熱は和食人気を高め、日本語の看板を掲げる日本料理店が急増している。
「韓国で一番人気がある日本の都市は大阪、次に福岡や東京が並ぶ。大阪は安いLCCが増えた事、テレビで大阪のストリートグルメ紹介が良い、USJや京都奈良へのアクセスも良くて、若者が大好きなグルメも遊びも満足できて、なおかつ安く行けるから。
慰安婦問題について
「慰安婦問題はこれから外交的に解決されなくてはいけない問題ですし、私もそれを願っています。日本からきちんとした謝罪があってしかるべきだと。そうした考えも明確に持っています。」「少女像についてですか? 世界各地にたてられているのがやりすぎという声があるようですが、私はそうは思いません。ドイツのアウシュビッツ強制収容所は、同じ過ちを繰り返さないという決意の象徴として保存されているでしょう。慰安婦問題も韓国だけでなく世界全体の歴史として、記憶していくべきだと思います。それは韓国がかつてベトナムでやったことも同じです。韓国政府はきちんと謝罪、賠償すべきでしょう。同じように私たちもかつて慰安婦だった人たちの後継としてその名誉回復に努めていくべきだと思います。」
・43才 男 アンティーク商
「子供の時は、日本に愛してい否定的なイメージがありました。過去の歴史、侵略とか。そういう境域がありますからね。日本は何かあるたびに謝っていると言いますが、真摯な謝罪とはほど遠い。いったいなぜそうなのか、そんなことをたくさん考えたりもしていました。」「韓国人が日本について否定的に考える要因は、いま大きく2つあると思います。一つは靖国。なぜ分祀しないのか。もう一つが慰安婦問題」「何年か前、日本が元慰安婦のおばあさんたちにお金を払うという話があったでしょう。あの時、韓国人の反発がすごかったんです。ちゃんとした謝罪と賠償がなくてはいけないのに、政府同士がいくらで手を打ちましょう、申し訳ないという言葉もないまま、これでフタをしてしまいましょうと勝手に決めてしまう、そんなやり方でいいのかと。。。」
「私が思うにはこれは金銭的な問題ではなく、まず首相なり立場の高い人が来て、きちんとしたお詫びをすればいいのではないかと。そしてそんなに大きな金額でなくてもかまわないので、所定の補償が行われたら、韓日関係がいい方向いいくのではないでしょうか。いまいつ慰安婦のおばあさんたちも、多くは望んでいないのではと思います。10年もすれば多くがなくなられるでしょう。その前にそんな謝罪があれば、両国の友情がいまよりずっと深まると思います」
こどもの時は日本製とは知らずにアニメを見て、プラモデルで遊んでいました。大人になって「あ、これも日本製だったのか」と、我々世代はそうした驚きを経て、日本への憧れを少し抱くようになったものです。
・51才 男 日本の大学での教員 イさん
妓生観光=買春観光が盛んだった1970年代、80年代。イさんはソウル育ちの大学生。ラジオでオールナイトニッポンを聴いたり、薬師丸ひろ子のファンだったりした。
慰安婦問題について
イさんは大学時代、日本人観光客の妓生パーティーを見た事がある。通訳のアルバイトをしていた恋人がそこに同席する事になり、頼まれてついて行ったそうだ。場所は現在も各国からの観光客で賑わうソウルの観光地、仁寺洞たっだ。「その時、私は日本人に対する反感というのはありませんでした。妓生とはそういうものだと思っていましたから。これは朝鮮王朝時代からずっとそうだったんですが、中央政府の官僚が地方へ視察に行くとするでしょう。すると各地の地方官史が妓生を動員して、接待するわけです。こうした習慣、伝統は根深く、私が学生の頃も普通に残っていいました。主な宿場町にはそんな妓生たちがいたんです。少なくとも1980年代くらいまでは、そのほか人心売買とか、身売りのようなこともまだ横行している時代でした。」
「売春をする女性たちに対する視線も、当時は違っていました。いまなら借金で仕方なくという事情もあったりするにせよ、結局は自分の意思でやっていることでしょう。でも昔は儒教的な道徳のせいで、一度汚れてしまった女性はもう普通の生活に戻れないという社会通念があった。そうした女性たちが社会に受け入れられず、売春婦となるしかなかったわけです。」「つまり韓国では、こうした一連の文化が最近まで受け継がれてきた歴史がある。それを棚に上げて、慰安婦問題をあそこまで非難できろのだろうか。当時みんなあれを黙認していたはずなんです。なのにああいったアンダーグラウンドで生きて来た人達の歴史を、なかったことにしていいのか、と。もちろん慰安婦問題には私もシンパシーを感じますが、こう考えると複雑な気持ちになります。」
・49才 女 旅行会社経営
日本に留学し、そのまま日本に骨を埋めるつもりの人。
両国関係について
「韓国が歴史問題か何かで日本に執着しているように見えるとしたら、それは政治とメディアのせいだと思います。特に若い層にとって歴史問題は子供の頃に教科書で習った話にすぎないし、さほど関心もありません。」「もちろんそこを突き詰めて言えば、こんな考えもあります。被害を与えた加害者は、一度誤ればそれで済んだ気になれますよね。でも取り返しのつかに傷を負った被害者の側は、トラウマのように一生背負いながら生きていくのが普通でしょう」「でもそれが歴史問題として騒がれる時、私は政治家たちが自分に都合よく利用している部分があるのではないかと思います。対立を煽って国民を結束させるのは、自分たちの支持率を上げるのに役立つでようから。こうした意味で私は、韓国の政治家も日本の政治家も両方問題があると思っています。」
北朝鮮について
「北朝鮮には地下資源が沢山あるでしょう。また統一すれば釜山からヨーロッパまで鉄道でつながるので、物流コストも安くなるんじゃないでしょうか。それに北朝鮮のインフラ建設も必要ですから、建設業界も潤うのではないかと思います。そのほか観光開発もできますしね。」「さらに韓国は日本と同様、人口問題を抱えています。私の時代は小学校1クラス60~70人くらいいました。それが今では30人程度。韓国もこれから労働人口の減少など、難しい問題に直面していくことになります。でも北朝鮮と一つになれば、労働人口が増えるというメリットがある。やはり国が大きく成長していくには、人口が必要だと思うんです。」
・42才 女 公企業勤務 日本とのかかわりの深い業務を担当。
対日感情は多面的だ。「日本の政治家や右翼がやっていることに対して、嫌悪する感情は確かにあります。熱にいつもそんなことを深く考えているわけではありませんが、、。でも独島問題、歴史認識問題、旭日旗の問題などで日本がやってくること、そのほか安倍首相がやっているようなことを見て、あれは間違っている。日本は歴史を正確に認識する必要があると、こんな思いはなっきりとあります。」「学校で韓国史を習うと、植民地時代の話が当然出てくるでしょう。そこから高校の時、日本や近隣国の歴史に関心を持つようになって、大学に入ってからは日本語を学んでみたりもしました。大学ではまた日本が韓国に対してとても大きな過ちを犯した歴史も学んで、、。ですから当時は日本という国に対しては、いい感情を持っていませんでした。もっともそれは実際に日本へ行ってみたこともなく、日本人と会って対話したりしたこともなかった時期の話です。社会人になってからは実際に日本を訪れ、日本人の友達もできて、また違った認識が深まっていきました。」
慰安婦問題について
「少女像が世界各地に作られるのも、そういう状況を自ら作り出したのは日本だと思います。ある国が別のある国を侵略して、よくないことが沢山起これば、それに関心を持つのは当然のことでしょう」「慰安婦問題にしても韓国が、日本がという立場を離れて、ちゃんとした謝罪があって然るべきだという部分について、多くの女性たちが共感しています。実際に米国や中国など海外の女性たちが元慰安婦の女性たちに共感したからこそ、その体験が忘れ去られてはいけないと。各地に記念碑を建てるようになったわけでしょう」「温かく誠意を持って向き合えばいいだけなのに、彼女たちが声を上げるのを防ごうとしたりとか、知らないふりをしたりとか、、。これでは私たちがもっと関心を持たなくては、と思うのも無理はありません」「領土問題もそうです。日本も尖閣諸島を巡って、韓国にとっての独島のような問題を抱えているでしょう。なのにどうして韓国に対していちいち敏感に反応するのか、、。そこは立場を逆にして考えたら、韓国の気持ちも分かる様になるんじゃないでしょうか」「慰安婦問題がなかったかのように宣伝する歴史修正主義は、自国の若い世代に歪曲された歴史を刷り込むことになり、虚しい憎悪や反感を招く結果にしかなりません。韓国でも軍事独裁とか、ベトナムでの”蛮行”とか、恥ずかしい歴史が沢山あります。自国に都合のいい歴史だけを教えても、そんな教育を受けた世代の将来が心配ですよね。何も知らずに育って大人になってから事実を知った時、自国に対する自負心が傷つくのではないでしょうか」
・52才 男 出版社代表 灰谷健次郎の著書を多数韓国語に翻訳して出版している
「韓国人が日々の生活の中で、日本に何か特別な感情を持っていることはあまりありません。ただし私が思うに、政治的、歴史的な話になると、韓国人の多くが日本に対して否定的な感情を抱いています。それは実のところ日本がどうこうといういうよりも、韓国国内の事情でそうなったのではないかという思いもあるんです。なぜなら早い時期から日帝時代に関する歴史を通じて、否定的な教育を受けていますから。だから本人もそうと気づかないうちに、日本に対して否定的な感情を抱くようになるんだと思います。」「今でも年配の人は特にその傾向が強いですね。私が中学生、高校生の頃もそうした教育が盛んでした。でもいまは教育も変わり、若い人は以前ほど否定的に考えないようです。うちの娘はダンスをしているのですが、その勉強のため1ヶ月日本で過ごしてきました。これも教育が変化したおかげといえるでしょう」 否定的な感情は3つの要因がある。「解放後に樹立された李承晩政権は、植民地地時代の対日協力者を大勢起用して要職に就かせました。彼らは理研を通じて裕福な暮らしを送った一方、独立運動家らは冷遇されました。つまり韓国はきちんと植民地時代に審判を下して精算する、過去を断ち切って新しく出発する事ができず、社会が間違った道へ進んでしまったんです。それがとりわけ進歩的な人々の間で問題視されており、いまの政界でも『親日残滓』の精算を求める声は小さくありません」 3つ目は”日本政府がちゃんとした謝罪をしていない”ということ。
元慰安婦女性のカミングアウトと日本政府を相手取った提訴をきっかけに、1991年から慰安婦問題が両国間の重要懸案として浮上。日本政府は日韓基本協定と付属協定に基づいて日本側に追加補償の義務はないとの立場に立ちつつ、反省と謝罪を繰り返した。韓国政府も当初は同じ認識に立っていたが、1992年から慰安婦問題を請求権問題の例外として補償を要求する方針に転換。そして日本がこれに応じなかったことが、韓国ではそれまでの反省や謝罪に矛盾すると受け止められた。こうして、「『日本の謝罪は見せかけだけであり誠意がない』という理解が定着する。そしてさらに歴史認識問題の解決には『日本が反省していることを示す、真の謝罪が必要だ』という世論が形成されていった。
否定的な感情の裏側に、「韓国メディアと教育が日本に対して非常に批判的な事」も関わっている。日本に関する問題でメディアが敏感に反応する裏側には、裏切者と非難されないように「安全でいたい」という心理が関わっているようだ。そのには批判以外を許さない社会の圧力も関わっている。
慰安婦問題について
「記念館のようなものは必要だと思います。私たちは慰安婦の歴史を学ばなくてはいけませんから。でもそれは相手を憎むことが目的ではありません。再びその歴史が繰り返さないようにするためです。競い合うかのように対立の構図を作り出すのは、賢明とは言えません。しかし、私が見る限り、扇動やプロパガンダのような部分もあるのではないかと思います。」「韓国もベトナムで、非常に大きな過ちを犯したでしょう。ベトナム戦争に参加し、多くの無辜の市民に被害を与えました。だから私たちもベトナムへ行って謝罪し、そんな歴史を繰り返さないよう努めなくてはいけない。実際のところ、日本でもそうやっている方たちは沢山います。」
「より多くの人が研究して話し合い、二度と繰り返さないよう決意する。こうしてこそ問題が完結されるのではないかと思います。その意味で例えばドイツで行われているやり方は、とてもうまくいっているのではないでしょうか。彼らは過ちを二度と繰り返さないという誓いを繰り返しており、それは信頼に足るものです。私たち韓国と日本も、いずれそういう関係になれればいいと思います」
・57才 男 「ナヌムの家」(一部の元慰安婦女性が暮らす老人福祉施設)アン所長
アンさんが目指すのは”正しい歴史”を取り戻すことだ。「日本に対して肯定的な考えも沢山ある一方で、歴史的に整理すべきことは整理しなくてはいけに。といってもそれは、誰かを捕まえて処罰しようということではありません。おばあさんたちを取れて行った人たちをつかめて処罰するとか、そんなことがいまの私たちにできるはずもないでしょう。そうではなく、事実を記録して”正しい歴史”を打ち立てる。これが私たちがやらなくてはいけないことなんです。」「1965年の対日請求権は朝鮮半島の植民地市販で発生した財産権を巡る問題についてであり、各地の戦場で発生した慰安婦の被害は含まない、また戦争犯罪に時効はないというのが私たちの立場です。しかし日本大使館の関係者とも非公式で3~4回は無しをしたことがありますが、彼らはおばあさんたちの請求権は1965年の国交正常化と同時に消滅したという立場で一貫していました。これでは話にならない。ではどうするかというと、第3国に知らせていくしかない。そこで2011年にアメリカのニュージャージー州に建てられた記念碑を皮切りに、グレンデール市をはじめ各地に建てられていったんです。」「日本はいま平和に暮らしていますが、例えばアフリカの内戦のように女性に対する人身売買や性暴力の被害は現代にも続いている問題です。以前ここを見学に来た外国人が「ナヌムの家」をベンチマークにして、アフリカで被害にあった女性のシェルターを運営している例もあります。そうした視点から考えた時、日本がいまからでも問題を認めて、”本当の謝罪”をすることには、大きな意義があると思います。そうしてこそ日本は国際社会から支持され、リーダーシップを発揮できるようになるのではないのでしょうか」
抜粋は以上
読んでみて、最後のアン氏は政治的な匂いも感じますが、他の方々は まじめで正直な人々という印象を受けました。まじめであるからこそ、教育やマスコミ報道によって知らないうちに常識が作られていきます。これは日本も勿論同じで、まじめにテレビニュースや新聞、政府発表を良く勉強する人ほど刷り込まれていくように思えます。日本人の方が、近代史を殆ど学習していないので、より刷り込まてやすいかもしれません。一方、韓国の人は、意外に冷静な見方をしているなという印象もありますね。
この本でインタビューを受けた人は、なんらか日本と関わりの深い人ばかりなので偏っているのだとは思いますが、それでも市民の感覚はこういう感じなのかという事が分かる面白い本でした。
今回の日韓問題も、政治とそれを煽るマスコミによって作られる劇の様な面があると思います。
韓国=約束を守らない国 という日本人の新常識にならんとしている感覚(マスコミや政府発表の記事から作られている)も、冷静に自分を見て行く必要がありそうに思いました。
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