2019年8月22日木曜日

【本】海外で研究者になる  増田直紀 中公新書

日本の若手研究者は、期間雇用の職ばかりで例えば5年ごとに色々な大学や研究所を渡り歩いて職を探さないといけない。

という話を沢山聞きます。

又、日本の大学で博士課程に進むのは留学生の方が多くなっていて、日本人は研究者離れが進んでいるという話も。


そんな流れの中で、日本を飛び出して海外で研究者としての職を得ている方々もいます。

この本の著者はその一人、東大准教授(終身雇用権有)の地位を捨てて、英国の大学に移た研究者で。今週は更にニューヨーク大学に移った方。


海外で研究者PI(Principal Investigator.自分のしたい研究を行う権限を持ち、一方で論文精算や研究費獲得などに責任を持つ 研究室のボス職。日本で言うと 大学の教授や准教授、研究機関の主任研究者など)になるには、どういう事をしたのか。又、現在 各国で活躍している17人の日本人研究者へのインタビューも含めて、海外への転出はどういう状況なのかを最新情報で説明してくれます。

2019年6月末に発売になったホヤホヤの本です。


海外で職を得るためのノウハウやポイントという話も多いのですが、各国の学生がどういう動きをしているのか、各国の学術研究に対する考え方や取り組み方がどう違うのかが詳しく、実感を持って語られています。



印象としては、アメリカ系(日本も)の大学は、競争的外部資金をどれだけ獲得できるか、重要な論文をどれだけ出せるか。というのを評価軸にしている様子。

一方、中国などは、科学技術振興の為にお金やチャンスはフンダンに与えられる様子。
スイスなどは、少し落ち着いた感じで研究できる環境の様子。

研究者と言っても、大学の職員の場合は教育者という顔も勿論持つ必要があるので、2つの顔についてのバランス配分なども国や大学によってかなり違うみたい。


17人の方は、状況は様々なようですが、総じて海外に飛び出した事でかなり視野や自由度を広げられたらしい。

彼らからのメッセージは、学生のうちからでも海外での研究経験や人脈を作っておくのが兎に角 良いとの事。
数年計画で行動をおこせば、成功できる可能性が上がる。中国の学生は既に始めているらしい。


現在の大学生におすすめの一冊です。得る所が多いと思います。

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