2017年7月31日月曜日

【本】いきものがたり 水野良樹 小学館

いきものがかりリーダーの水野さんから見たいきものがかりの辿ってきた道程。

「いきものがかり」は私の好きなグループです。
なんとなく懐かしく感じるメロディや、我々世代でも理解できる歌が多数。

コンサートのビデオを見ても、楽しめる。
本当に老若男女に受け入れられているグループだと思います。

私がちゃんと彼らを認識したのは、紅白での”帰りたくなったよ”を見た時。
そこからのファンですので、かなり遅れて来たファンですね。


最初は 吉岡さんの歌声が、感情がこもっていない平板な歌い方と思ったりしていましたが、なじんで来ると、曲毎に歌い方を変えて伝えようとしているという事が良く分かるようになりました。

世間のパフォーマンスや過剰な感情表現をするものにばかり接していたので、すぐには分からなかったのですね。

小田急線沿線ミュージシャンというのも親近感がわく理由かもしれません。

今年、放牧宣言をして休止中ですが、ベスト盤アルバムのHPには、そこに入っている各曲の当時のプロモ動画もリンクされていて、それを見て彼らの曲を色々研究中できます。

すみません。肝心のこの本についてです。

彼らのオリジンと、その後の駆け上がっていく姿、苦しんで、それを超えて、成長していく姿を、当事者ならではの生生しい語りで教えてくれます。

良く芸能人が出す、ゴーストライターが書いた本、ではなく本人が、生で書いた物としての迫力があります。

彼ら3人は、本当に運命共同体の戦友なんだという事が良くわかります。
誰が欠けてもいきものがかりでは無くなる。

各曲がどうして、生まれてきたのか、何を伝えたかったのか。各人はどうプロフェッショナル化して責任を果たそうとしているのか。等 
彼ら3人が本当に身近な知り合いの様な気になってきました。

彼らを見ていて感じるのは、色々考えながら、でも、とてもまじめに生きていこうとしている素直な姿勢です。

有名になって、周りの人からの接し方もどんどん変わってきているはずですが、いつも自分を見失わないで、自分達の信じる事や、一人の人として感じる事を大事にしているのだと思いました。

この放牧期間は、きっと彼ら一人一人に新しい気づきと想いを与えてくれるのだと思います。

成長して帰って来る日が楽しみです。

2017年7月27日木曜日

【本】遺伝子も腸の言いなり2 藤田紘一郎 三五館

*環境と遺伝子のただならぬ関係

・ガンの不安を抱えて生きるか、健康な身体にメスを入れるのか

ハリウッド女優のアンジェリーナ・ジョリーさんが乳ガン発症を回避する為に両方の乳房の乳腺を切除する手術を受けたと告白手記を載せました。
このニュースで、日本の医学界はすぐに反応し、翌日の新聞では「乳房予防切除」を行える病院のリストをいち早く発表しました。
しかし、この様な手術は本当に「ガンの予防」なのでしょうか。
この論法だと、「ガンの完全な予防」は人体の主要な臓器をすべて取り除くことになってしまいます。

私(著者)は、ガンになりやすい遺伝子を持っていて、将来ガンになる確率が高いからといって正常な組織を摘出してしまうことには賛成できません。それには理由があります。

それは、遺伝子は親から受け継いだものだけを一生持ち続けるのではなく、環境によってある程度は、遺伝子の振る舞いを変えられる事がはっきりしているからです。

「遺伝子の振る舞いを後天的に変え、病気を予防する」。
これが私達にとって、自分自身で健康寿命を延ばすことのできる、画期的な方法となるはずです。


・セントラルドクマ説だけでは説明ができない

遺伝子が同じクローンマウスでも尾の形が異なったり、一卵性双生児やクローン動物、挿し木などでも環境によって個体差が生じます。

又、1960年代にハワード・テミンは、遺伝情報はRNAから逆向きにも流れ、DNAの情報が逆転写酵素の働きで上書きされる事を証明しました。
エイズウイルスの感染もこの逆転写酵素を用いて、感染細胞のDNAを乗っ取る事で完成するのです。


・ヒトゲノム解析でわかってきたこと

ヒトとチンパンジーでは98.8%のゲノムは同じでたった1.2%の遺伝子の違いしかありません。
近年の研究によって、生命のあり方をコントロールしているのは「環境からの信号」であることが大きいと分かってきています。
この信号を元に、転写因子と呼ばれる調節タンパク質によってコントロールされ、遺伝子が活性化したり、不活性になったりする、つまり遺伝子のスイッチがオン・オフされるということで説明できるのです。
最近注目されている「エピジェネティクス」(後天的遺伝子制御変化)がそれです。


・遺伝子の水平移動

遺伝子の水平移動は起こります。この事を考慮する事なく、遺伝子組み合え農作物を環境に導入すれば、どんな重大な結果を招くのか、モンサント社(世界の遺伝子組み換え食物市場の90%を誇るアグロバイオ企業)もそれを許しているアメリカも認識していないとは思えません。

実際に人間が手を加えた遺伝子が環境に広がり、他の生物の遺伝子にも変化を及ぼしているということが現実に起こっています。
例えば、遺伝子組み換えナタネからハマダイコンへの遺伝子拡散や、大豆とツルマメの交雑が指摘されています。
除草剤耐性を持つ遺伝子組み換え作物の摂取で、腸内細菌にその耐性遺伝子が伝播することが明らかになっています。

トウモロコシは大増産されて、牛の飼料にも使われていますが、もともと草を食べていた牛の胃はトウモロコシを消化しようとして酸性になります。
O-157は牛の中性の胃の中で穏やかに暮らしていたのが、酸性の環境に耐えられる様な遺伝子を獲得し、ベロ毒素を作る様に進化したのです。病原性大腸菌O-157が騒がれだしたのはこの20年程です。
牛に無理やりトウモロコシを食べさせた人間により出現したのです。


・日本人が取り入れた「海藻を消化する遺伝子」

実は私達の腸の中に、日本人が誇るすごいものがいる事が分かっています。フランスの生物学研究所チームの調べでは、海藻を消化する酵素は日本人の腸内にのみ存在しているとの発表がありました。
日本人が長い間、習慣的に海藻を使った料理を食べて海洋微生物を摂取する事で、腸内に住むとされる細菌の一種が、海藻を消化する遺伝子を取り入れることが出来たのではないかと考えられています。

遺伝子は環境の影響を受けて変化しますし、種から種へ伝搬して変わっていくものなのです。
「それなら、自分の意志で環境を変えれば、遺伝子も変えられるの?」と思った方、じつはそのとおりです。あなたの健康や幸せは、あなた自身が運命を握っていて、良い環境をつくる努力が、そのまま遺伝子の変化に直結してくるのです。


*エピジェネティクスの可能性は無限だ。

エピはギリシャ語の「上の、別の、後から」という意味を持ち、本来の遺伝情報の「上につく別の遺伝情報」や「後で獲得した遺伝情報」という意味です。そして、エピジェネティクスによって変化した遺伝情報の事を「エピゲノム」(後天性遺伝情報)と呼びます。

環境によりDNAを変化させられるしくみの一つがメチル化です。DNAは4種類の塩基からなりますが、そのうちのシトシンにメチル基がつき、5-メチルシトシンになると、遺伝子のスイッチはオフ状態になって動かなくなります。

もう一つの仕組みは、DNAがまきついているタンパク質のヒストンのアセチル化です。

これら以外に、最近興味深いものが発表されました。
愛情が遺伝子を変化させているのではないかという実験です。
又、摂取する食べ物によっても、エピジェネティックな変化が起こることが報告されています。

80才以上の50人を対象に、20代の頃の環境を再現した場所を作り、そこに50日間住んでもらうと、老化度を測る「皮膚圧=肌のはり」が30%以上の人で20代と同様の皮膚圧に戻っていたとのこと。

私たち生物をコントロールしていえるのは遺伝子だけではなく、環境でもあるという事を述べてきました。
進化の方向も、生活環境や腸内環境、物事の受け止め方といった「環境」が決めるということです。

つまり、「腸が変われば考えが変わり、考えが変われば遺伝子が変わり、遺伝子が変われば運命が変わる。」と言えるかもしれません。




この本では、最後に 実践! 腸思考法として10個ポイントが書かれています。


自分で環境を変えて、遺伝子の発現を制御したら色々面白い 自分の可能性を開花させる事もできそうですね。。。。


【本】遺伝子も腸の言いなり1 藤田紘一郎 三五館

藤田さんは免疫の第一人者。腸内細菌関連など腸にまつわる啓蒙本やエッセイ本を沢山出されています。酢タマネギなどでも有名ですね。

だだ、この本は今まで読んできた腸内細菌叢や腸のリズム、寄生虫などとは違った、もっと根源的は? 内容の1冊です。

腸と脳、遺伝子とその使い方について述べられています。私には なんとなく感じていた事をハッキリ言いきってくれる目からウロコの内容でした。

驚いた点を記します。

*腸と脳

・「恐怖」と「恐怖に対する不安」は分けて考える必要がある。

「恐怖」は、車でスピードを出しすぎてカーブを曲がる時に感じるもの。

「恐怖に対する不安」は脳が勝手に作りだした架空のもので、失恋したらどうしようとか、もしも試験に落ちたらどうしよう、、など風評被害もそうだし、それをあおる事でビジネスにする保険業やサプリ業界なども沢山ある。


・腸の声を無視して暴走する脳

マウスの実験:無菌マウスと正常マウスを比べると、無菌マウスの方が不安を感じている行動が多くみられる。
本来恐れる必要のない物に恐怖を感じる。

例えば、腸はより多くてバランスの取れた腸内細菌叢を欲しがっているのに、それに反して脳は自分の快楽だけを優先して、清潔徹底をやらせて腸内細菌を減らすような環境を作り上げてしまう。
現在の日本は、栄養状態も衛生環境も良いハズなのに、年間で3万人もの自殺者を出している。
対して、戦前の日本は腸内細菌の保有数が現在よりはるかに多く、自殺者は少なかった。

<藤田先生の例はすぐに腸内細菌に行ってしまいますが、 身体に悪いと分かっていても深酒する。太ると分かっていても甘い物を食べてしまう。
ゲームなど与えられた娯楽だけやっていたらダメと分かっていてもやってしまう、、等身体に悪いと分かっていても、”今日だけは”と言いつつやってしまう事って沢山ありますね>

精神面で、腸内細菌が重要な役割を果たしている事は先に挙げた無菌マウスと正常マウスの比較実験をはじめ多くの研究でも明らかにされている。

脳は私達が素朴に感じることだけを存在するように思わせ、短絡的な判断を下してしまいがちです。
聞き間違いや意思疎通のすれ違いなどで、怒りを感じたり悲しくなったり、それが原因でケンカしたりということがよくありますが、それも脳の単純な判断のせいです。


・脳はいいかげんなやつ

脳だけで考えることはいかにいい加減かを知るために、例を挙げると、

・このガンは手術で助からない確率は10%です。
・このガンの手術で10人中9人が治癒しています。

この二つはよく考えると内容的には全く同じ事をいっているのですが、最初の言い方だと不安を感じ、二つ目の言い方だと少し安心します。
言い方によって脳が勝手に不安を感じてしまうのです。

いとも簡単な事で脳は騙されやすく、偏った考え方をしやすい事が分かります。
ちょっとした質問の仕方や言い方で、脳はステレオタイプな考え方をしてしまいがちです。

最近、心理学でも「相手をおもいどおりに操る方法」のような本が売れていますが、脳の盲点を突いた方法をうまく使えば、簡単に相手を誘導することもできてしまうのです。


・野生動物はなぜ太らないのか?

とても空腹にしているサルにいつもの4倍(400g)のふかし芋を与えると、当然サルはガツガツと芋を貪るように食べますが、いつもの分量(100g)程度を食べ終えると、後は芋に見抜きもしなくなりました。
しかし、また同じように空腹にさせた後、ハチミツとバターを加えて蒸した芋を与えると、400gを超えて際限なく芋を食べ続けたのです。

これは、人間と野生動物は同じような満腹中枢を持っているのに、どうして人間は肥満になり、野生動物は太らないのかを探るための実験でした。
自然に棲む野生動物が普段食べている餌は、甘い辛いの味付けはされていません。
そういう人工的な味付けのないものを食べている限り、満腹中枢は正常に働くのです。

本来は狩猟民族であり、新たに農耕民族となった私達日本人は、タンパク質の摂取量が極端に低くなりました。
その代わりに糖質を大量に摂取するようになり、徐々に糖質を消化する能力も増してきたのです。

それはちょうど、人間が家畜化されてきたことになります。私達は脳が欲するままに、人間の味覚を刺激する食費んを次々に開発しました。
そして、そうした食生活は本来、脳をコントロールするはずの腸を傷つけることになります。腸が疲弊し、結果的にそれが肥満を誘導したばかりでなく、脳の暴走を許してしまい、頭人間ばかりを作ってしまったというわけです。
つまり、家畜化した人類の食生活が脳の暴走を導いたのです。


・心の病気は脳でなく腸が癒す

生物の歴史を遡ると、もともとは腸だけで立派に生きてこられたのです。問題は脳を作った事です。
おかげで私達は、不安や怒りなどを感じるようになってしまいました。
なぜ、何でもない事で不安を感じ、それが連鎖的に膨らんでいたのだろうかと考えてみると、「脳が勝手な思考をめぐらすからであって、腸でじっくりと現実を観察して気づけばいいんだ」と実感しました。


・腸内細菌叢があなたを太らせる

高食物繊維・低カロリー食で育ったアフリカの子供の腸ではバクテロイデス門に属する細菌が優勢だったのに対して、低食物繊維・高カロリー食で育ったイタリアの子供では、フィルミクテス門に属する細菌が優勢。
フィルミクテス門は太った人の腸内に多く存在し、高カロリー食を摂取する事で死亡の吸収効率が最適の状態に分解し、腸壁はぐんぐん脂肪を吸収します。

ワシントン大の研究では、太ったマウスから採取した腸内細菌を別のマウスに植え付けたところ、普通の体格のマウスから採取した腸内細菌を植え付けた場合と比べて、同じ量の餌を食べているにも関わらず、肥満になりやすかった。


・不安感のやわらげ方

文明社会で生活していると、腸内細菌が減少してきます。
その減少した腸内細菌を増やす様に努力することで、不安を和らげることが出来るという研究報告が最近、相次いでみられるようになりました。
私達が感じる不安は、腸内環境を整える発酵食品を摂る事で減らせるのです。

2につづく

2017年7月26日水曜日

【本】国際メディア情報戦 高木徹 講談社現代新書

著者は「ドキュメント 戦争広告代理店」を書いた高木さん。

政治の世界で、PR情報を戦略的に使う事が重要になって来ている事を、数々の例で教えてくれます。

・ボスニア戦争
・アメリカ大統領選挙 オバマの勝利
・ビンラディンとアルカイダ
・アメリカの対テロ戦争
・さまようビンラディンの亡霊
・オリンピック招致 日本が持っている「資産」

そして、PRが殆ど出来ていない日本に於いて。
どうしていったら良いのかについて。

現代の戦争は、世界世論で倫理上正義と思わせた方が勝ち。
という冷徹な現実を見つめる必要がある。

とのこと。

今の日本の旧制思考の政府は、下手な見え見えの強権国内情報操作をやろうとしていますが、ちゃんと国民を見て、世界に対して戦略的行動をしかけていくという様な事は期待できないですね。

考え方の違う人材=世襲でない人 が、政治をしていく事が必要ですね。

2017年7月21日金曜日

【本】本能寺の変 431年目の真実 明智憲三郎 文芸社文庫

著者は明智光秀の子孫。
企業の情報システム分野の仕事をしていたが、その経験を活かして「歴史捜査」を展開し、通常の歴史研究とは一味違う 証拠からの理詰めの推理を展開している。

2013年12月が初版の文庫ですが、これが出た時は歴史家の間ではかなり注目を浴びたものらしいです。

学校の歴史や、大河ドラマで見る本能寺の前後や、その後の秀吉や家康の動きで、なんとなくしっくりこない部分を感じていましたが、この本の説は、ナルホドこういう事だったのかもしれないな、、一般の人が知っていると思っている「歴史」は「誰かに作られた歴史」というのはよく有りそうな事と感じました。

面白い説です。

なんとなく、しっくり来ていなかったのは、
・百戦錬磨だったはずの光秀が、勝つシナリオ無しで
 クーデターを起こすはずがないのでは?
・秀吉の中国大返しは、やはりとても無理のある行動に
 思える。特に、姫路城で全ての金を皆に分配したとい
 うのは、なぜ?
・そんなに信長に恩義を感じていた秀吉であるならば、
 その後に織田家に対する冷遇は異常。最初から明確
 なシナリオがあった様に思える。
・千利休の殺され方が、やはり不自然。
など。

この本の説では、これらにツジツマが合う。

いつでも、どの国でも 流布される歴史は そのまま信じるのは危険と思いますが、日本史にもそれがあってもおかしくありませんね。

面白い本です。歴史好き、戦国時代好きの方にはぜひ読んでもらいたい一冊です。

2017年7月16日日曜日

【娯楽 映画】忍びの国

映画 忍びの国 を見てきました。
忍者好きなのです。

アクション特撮として、少林サッカーを見た時ののようなバカバカしさと面白さを感じました。

ただハッピーエンドでなかったのが残念。
ハッピーエンドなら面白い娯楽映画と迷わずに言えたろうにと思います。

少し中途半端なシリアス感が残念。

嵐の大野さん含めて役者の方はは良い味出してます。
知念さんの役はちょっと内容不透明で可哀想。
大野さんはこういうトボケタ役にピッタリですね。

史実も意識するなら、この合戦後に伊賀者は家康の所に逃げ込んで庇護され、本能寺の変の時の伊賀越えや、後の安土城火つけで借りを返したという所まで描くと良いのにとも思いました。服部半蔵にも繋げられないかな。。

これは、続編で作ってもらえると良いのに。。

楽しい愉快作である事は、マチガイ無しですね。

2017年7月15日土曜日

【本】なぜ戦争は伝わりやすく平和は伝わりにくいのか(3) 伊藤剛 光文社新書

・戦争のイメージ
一般の人は、映画やドラマ、ニュース映像などにより刷り込みがされている。

刷り込み自体は、常識や定説という形で色々ある。例えば信長の本能寺の変。明智光秀の個人的恨みから、、という様なイメージがドラマや小説などから作られているが、実際は違ったのではという、現在歴史家の間で議論になっている事などもある。

戦争では、ユダヤ人虐殺の「シンドラーのリスト」、ベトナム戦争の「プラトーン」などの映画がヒットした。
これで、その戦争を知った人も多いだろう。

でも、これらの「作品」を作るには巨額の金がかかる。それを回収できるようなスジダテでないといけない。
世界に発信される多くの戦争映画は、巨大な資本によってバックアップされた物であり、私たちが抱く戦争のイメージというのは、それらによって形成される。実際はかなり偏っていると言わざるをえない。


実際の最近の戦争では、無人機の使用が増えている。操縦しているのは生身の人間だが、操縦場所は戦地から遠く離れたアメリカ国内の空軍基地にあり、そこでは無人機パイロット達がモニター画面を見つめながら、キーボードやコントローラを操作する事で爆撃が行われている。
無人機パイロット達の日常は、「毎朝、基地郊外にある自宅で家族と食事を済ませ、マイカーで出勤。
フライトスーツに着替えて屋内にあるリモート操縦席に乗り込む。数時間のアフガンの戦場での偵察や戦闘を繰り広げ、勤務が終われば、そのまま子供のサッカーの試合観戦に出かけたりする」
サイバー戦争も同様。
この様に戦争の実態は、どんどん変化している。それを我々は知っておく必要がある。

・正義と平和は両立しないことがある
既に始まっている戦争を和平合意に持っていくには。(紛争解決人の伊勢崎さんの話)
「そもそも和平合意をする時に、争っている双方が「平和の価値」を見出して自ら銃を置くなんていう事は絶対にない。平和構築はそんな生易しいものではない。
国を破壊し、大勢の人間を殺し、生きたまま手足を切断するような、単に殺害する以上に残酷な事までした戦争を終結させるものは何なのか。
それは、武器を手放す事でどんな利益を享受できるのかという「利害調整」です。
僕が担当した武装解除も、人を殺した兵士たちに「恩赦」を与えていく行為です。
アメリカを批判するのは勿論簡単ですが、一方で少しでも早く戦争を終結させる方法が他にあったのかと言われれば、確かに無かったのだと思います。しかし、あくまで「正義」を犠牲にして作った「平和」なのです。」

・平和経済
軍事産業による戦争経済はあるが、平和産業や平和経済というものはまだ無い。防衛ではない「戦争予防産業」を作る事が必要な時代にきている。

以上