2017年6月17日土曜日

【本】意識をめぐる冒険 クリストフ・コッホ 岩波書店

著者は、米国でマサチューセッツ工科大学(MIT)と並ぶ理系の最高峰大学のカリフォルニア工科大学(CALTECH)の生物物理学科教授でアレン脳科学研究所所長のコッホ氏。

意識は脳のどういう仕組みで起こるのかを、探求中。

350ページを超えるボリュームのある本で、話も沢山の話題が書かれているので、要約というのは難しいのですが、へー と感じたポイントを書いてみます。

コッホ氏は意識はニューロン群の結びつきが意識を生むと予想しています。

人間の脳には、非常に沢山のニューロンがあり、それらが複雑にネットワークを作っているのですが、殆どが意識に登らないで活動をつかさどっている。

眼で見ている物、聞いている音が意識にのぼるとは限らない事は皆感じているはず。
でも、それらの情報は脳にはインプットされている。

脳やニューロンの仕組みを調べる中で、特定の有名人にだけ発火するニューロンもあることが分かった。
その有名人の写真や、絵、声などにしか発火しなく、名前を見ても発火する。

数学を趣味とするエンジニアには、ピタゴラスの定理で反応するニューロンが見つかった。

人間の大脳は左右に分かれていて、脳梁でつながっているが、脳梁が切れた場合、左右の大脳に別々に意識が生じる。
だから、自分の左手と右手でジャンケンすると本人にはコントロールできなくなる事があるとのこと。

脳幹や視床組織がわずかに損なわれても意識は永久に失われる。

自分による自由意志での決定。は、本当に意思で決定しているのか難しい問題。

意識の上で決定したと思った時よりも前に、脳内ではその決定結果に向けた動きが観測される。
脳が決定している事を後追いで、自分の意志で決定したと感じている主観的な感覚。

情報間のネットワークが複雑になれば、意識は自然に発生する可能性があるのでは、だから、機械などにも意識が生まれるのでは という考えている人もいる。

一方で、原子や分子などの微小単位にも意識があるのではという説も、、

などなど。

そういえば、誰かと話しをしていて、自分の思っている事と違う内容を口走っている自分を発見する事があります。
その時は、エー 自分(の身体)はそんな風に考えていたのか。。と思ってしまう。

この分野は、面白そうですが まだまだ常識が変化していきそうに思います。

身体と心の関係   まだまだ深そうです。

2017年6月11日日曜日

【囲碁】気持ち良く学べて、打てる所

囲碁を楽しみながら、学んで行ける良い所に巡り会えるのは幸せな事ですね。

囲碁はルールは単純ですが、奥が深いので自分の実力が少しずつ上がると、同じ教則本を読んでも、今までは気が付かなかった新しい発見を得る事が多いものです。

当然、上手い人に教えてもらえれば、本を読むよりももっと多くの気付きを効率良く得る事ができます。

私は全く囲碁を知らない状況から学び始めました。

初心者、級位者にとって、街の碁会所はとっても入りにくい場所です。
高段位者がたまっている感じで、級位者は邪魔になるだけなのではと思ってしまいます。

勇気を出して、入って行って席亭さんに打ってもらって、アドバイスも頂けるのですが、「ココはこうした方が良かった」という事は教えてもらえても、系統的に一貫性を持った教育はしてもらえません。
又、なかなか質問も出来ません。

教えるプロではありませんので、当然ではありますが。
又、小さい時から囲碁をやってきた人はセンスで打っていて、ロジックで手を説明できない事もある様です。

そういう意味では、初心者や級位者は路頭に迷ってしまいやすい、、というのは言い過ぎでしょうか。

こういう事が「囲碁はとっつき難い」という印象を与える一因になっているのでは。

系統的に学べて、いつでも質問できて、置き碁だけでなく、同レベルの人と互先で本気の実戦をする事もできる環境を見つけられればベストです。

そういう意味で、知り合いの囲碁教室は初心者、級位者に理想的な環境を提供してくれています。

新百合囲碁学園という所で、子供クラス、女性クラス、初段を狙っていく大人クラスがあります。
http://web-asao.jp/hp2/shinyuriigo/

教えてくれるのが、早稲田大学囲碁会の現役学生でアマチュア8-9段格の強豪。

大人クラスでは、年間カリキュラムに沿った講義1時間、指導碁1局、クラスメンバー間のガチンコ対戦1局を行います。月2回の開催。

通っているのは、強くなりたい女性、定年後の楽しみに囲碁を学び始めた人、子供や父と打ちたいと学び始めたばりばりの現役社会人。と様々。

講義で習った事や、本で自習した事を指導碁やガチンコ対局の中で試してみる事や。その中での質問をどんどん聞いていく事も出来るとのこと。

いつでも参加できる。というのも忙しい人に向いているようです。
小田急線沿線の人はラッキーですね。

新百合囲碁学園では時々「ゼロから始める囲碁講座」というセミナーも開催するとのこと。

全く囲碁を知らない人も、そこから入門する事ができますね。

こういうシロウトが気楽に学べる場が、色々な所に出来てくると良いのですが。そうすれば、もっと囲碁が普及すると思います。

2017年6月9日金曜日

【音楽】癒す力

この2週間ばかり、プライベートや仕事でストレスの溜まる事が続き、すっかり疲れた倦怠感を感じながら、帰宅の電車に乗っていました。

通常は、本を読んでいるのですが、今日は文字を追うのもシンドイ心境。

ふと、心地良い音楽が聴きたくなりました。

ユーチューブで心が思いつくままに選曲しました。

クリストファー クロスの「ニューヨーク シティセレナーデ」。

聴いているうちに、心身の重しがいつの間にか取れているのに気が付きました。

続いて、イングランド ダンとジョンフォードの「キープ ユア スマイル」。
乾いたサウンドが元気を引き出してくれました。

〆は、八代亜紀の「おんな港町」。
どうしてこの選曲になるのか自分でも分かりませんが、独特の絶妙な八代節に感動。

きっと、過去の自分の楽しい記憶と結びついている曲達だったのでしょう。

人それぞれに、こういう自己回復できる音楽がきっとありますね。

音楽の力。改めて見直しました。

2017年6月6日火曜日

【本】きずなと思いやりが日本をダメにする 長谷川眞理子 山岸俊夫 集英社インターナショナル

社会心理学者と進化生物学者の対談本です。

最初にこの本を読むと、世間知らずの学者が好きな事を言っている と思う人もいるかもしれません。
でも、読み返して見ると 実はそうだったのか と感じさせる内容の本です。

気になった点をいくつか書き出してみます。

・「おばあさん」がいるのは人間だけ。

ヒト以外の動物では、繁殖能力の無くなったメスはその時点で寿命を迎えるのが通例。

ヒトは脳が大きいので、小さい未熟児の内に産む必要がある。(本当なら妊娠期間3年が妥当らしい)

ヒトは未熟児の上に、成長に時間がかかる生き物で、子育てに非常に手間がかかるので、母親一人で育てる様には出来ていない。
「おばあさん」や社会を含めて共同繁殖をしていく生き物。

つまり、”母性が足りない”とか政治家が良く言うお説教は意味を持たない。もともと、ヒトの子育ては「母性だけでは全く足りない」のだから。

政治は説教ではなく、共同繁殖できる仕組みを作るべき。

海外では、妊婦に話しかけ、激励し、安心させる役割の人がいる事があり、その人が付くだけで正常分娩率が一桁良くなる。

・少子化の原因
ヒトの一生のエネルギー分配は「自己投資」「配偶者選択」「子育て」の3つに分けられ、現代は女性の活躍の場が増え、自由恋愛も理想の相手を探したいとなっている。
となると、「自己投資」「配偶者選択」にエネルギー分配が多くなり、「子育て」に振り向けるエネルギーは少なくなる。
又、「子供のペット化」も起こっている。

今の官僚、政府、政治家は「心でっかち」の話ばかりしている。スローガンや説教ばかりを言っていて、それで問題が解決する様な事を言う。

彼らがしなければならないのは、お説教ではなく制度設計。

1950-60年代は、日本人の出生率は4ぐらいあり、人口爆発になりそうだった。それを止めるために当時の官僚達は「移民の奨励」「2DK住宅の普及」を進めた。

団地で家電製品に囲まれて暮らすのが文化的と宣伝し、ブームを作ってあっという間に出生率は2へ下がった。

お説教ではなく、こういう制度設計で現実を変えていく事が必要。

・脳はコンピュータとは異なる。
良く脳をコンピュータに例えて、何にでも対応できる万能の物を様に言う人がいる。

でも、脳はヒトの臓器の一つで、進化の過程で当時のヒトの直面した課題への対応する能力を獲得して来ているだけで、万能ではない。

その脳には、進化の過程で埋め込まれている(プログラミングされている)事がある。

ー「心の理論」
 相手には自分と同じ様な心があると仮定してして
 つい考える。
 人間社会はこれにより”心の読み合い”をお互いに
 する事で一種の安定状態を得ている。

ー「共感する力」
 相手の痛みをついシミュレートしてしまう。
 だから、いくら怒っても相手を思いっきり殴れない。
(このプログラムが壊れている人も世の中にはいて、
 残忍な事を平気でしてしまう)

ー「利他行動」
 集団生活をする事で、ヒトは生き延びてきた動物な
 ので、互恵的な本能がある。
 同時に、裏切り者を探知する高感度の本能もある。
 裏切り者を見つけたら、集団から追い出す。

ー「他人の眼」
 他人が自分をどう思うか考えてしまう。
 他の人と相対的に考えたり、先を考えたりして
 しまうので、絶望したりする。
 チンパンジーは絶望しない。

ー「集団内の空気を悪くしたくないと考える」
 日本の文化は「和」ではなく、ネガティブな協調性
 で事を荒立てない。荒立てると損する環境にある。
 日本の社会は いい子 を強制される。ビクビク系文化。

 でも、文化は環境で変わる。終戦の時は、1日で皆の
 言う事、考え方がひっくり返った。

 それも分からずに、「気配り」は日本の文化伝統など
 と本気で信じている人がいる。

ーヒトが理屈抜きで守ろうとする道徳律 
 <すべし/するべからず>
   ケア/危害
   公正/欺瞞
   忠誠/背信
   権威/転覆
   神聖/堕落
   自由/抑圧
 以上が進化の過程で刷り込まれている道徳律。

 これに、グローバル化の現在は、
   平等/差別
 が必要になっている。
 
数百万年の間で生き延びて、進化してきた脳のままで、この短い期間で何もかも変わってしまった現代の環境を対応しているというのが現実の姿。

そこを、よく認識すべし。

という感じ。

ヒトには刷り込まれている心の動き方があり、それに動かされているという事を知りました。

言われてみれば、凶悪犯なども肉体的には大したことは無くとも、「残忍な事が平気で出来る」という事だけで、周りに恐怖を与えるという事を納得できました。
 

2017年5月27日土曜日

【自ら人体実験】ビタミンCのメガドースその後2

ビタCを飲み続けていて、新たに実感した事があったので、書いておきます。

もう夏?? と思わせる高い気温の日々が始まりつつあります。

そうなると、冷房が至る所で動き出す。

先週、久しぶりに新幹線に片道4時間も乗る出張に出たのですが、そこで自分の身体の変化に気が付きました。

私は寒がりで、今までは夏でも長時間の新幹線に乗る時は上着が手放せませんでした。
いつも、人より1枚多く着込んでいる感じでした。

先週の出張時は、つい上着を忘れて家を出てしまいました。
その前日までは真夏日の様な気温だったのですが、その朝は気温も低く、新幹線の駅まで行く通勤電車に乗っている人はほぼ100%上着を着ていました。

これはヤバイかも、、と思いつつ、家に引き返す時間余裕が無いのでそのまま新幹線に乗ったのですが、意外と大丈夫という自分に気が付きました。

これは、今までの自分ではなくて、温度に対する抵抗力がついているという実感です。

寒暖に対する体温の調整能力が高くなっているという事でしょうか。

面白いものです。

2017年5月23日火曜日

【北朝鮮】原発とミサイル

北朝鮮のミサイル試射が本当に常態化しつつあると思います。

又、確実に制御と命中精度を上げてきているのも確かな様です。

核爆弾や核弾頭という言葉も沢山聞く様になりました。

安倍首相はサリンを弾頭につけて、、などという国民の恐怖心だけを煽り立てる事を言います。(サリン弾頭は軍事的には殆ど効果が無いというのが専門家の話の様です)

トランプ大統領は、核実験とICBMはレッドラインだ と線引きをしています。

一方で、日本では凍結されていた原発を再稼働させ始めました。

北朝鮮から見たら、トランプのレッドラインなど越えなくても、日本の原発を狙ったミサイルを多数打てば、原爆を落としたと同様の効果を日本に及ぼす事が可能になったと考えているのではないでしょうか?

原発再稼働は即止めて、核廃棄物や核燃料はトラブルに巻き込まれない保管に移す事が、国民を守るという行動になると思います。

防衛ミサイルをいくら拡充しても、全てのミサイルは迎撃できないのですから。

2017年5月20日土曜日

【定年再就職】見えてきた事

2月で定年を迎えました。

定年になって初めて実感した事が幾つかありました。

なってみて感じるのは、サラリーマンには転機であり、解放点であり、窮地でもあるという事。

今の世の中、年金が出るのはまだまだ先なのに、会社に再雇用で残ったとしても「ハイ あなたは来月から給料 ○分の1ね」と当たり前の様に言われてしまう。

社外で再就職しようとしても、シニアでは就職先の業種が本当に限られてしまい、どこに行っても再雇用とあまり変わらないか、それ以下の給与水準の提示しかない。

生活はどうする? 残りの人生はどうする?年金だ、税金だ、なんだかんだと一度に厄介な選択を沢山迫られる。

大変です。

私の場合は、基本モットーが「変化はチャンス」と考えているので、定年を機に残りの人生にに寄与して、自分としてもやりがいを感じられる新しい世界を切り開きたいと考えました。

ただ、定年の実感と焦りが出てきたのは、昨年の10月から。
あまりに、ボヤボヤしすぎていたのかもしれません。

自分の会社人生の履歴棚卸をして、書き出してみると、最初の7年ぐらいは品質関係の仕事、残りは商品企画とマーケティング、新規事業開拓などばかり。

リクルートやパソナ、産業雇用安定センターなどの相談員の人にも会いに行ってみると、「商品企画や新規事業の関係は、若い層しか求人ないですよ~」と一刀両断されてしまいます。
自分でも、もし新規事業を起こす時はきっと若者を集めるだろうなと思うので、そうなんだろうな、とある面納得。

私の場合、何十年もメーカーの仕事をしてきて、それなりに面白くはあったのですが、ずっと感じていたのは、もっと、ストレートに社会の為になる事を生きている証としてやってみたい。という気持ち。

そこで、難民や貧困層を支援するジャンルで仕事を探していきました。

国際支援をする国連の関連の仕事、JICA関連の仕事、私企業だけどそういう価値観で仕事をしている会社。などなど。

国際貢献に関しては、国際協力キャリアサイトへの登録やJICAの講演会等にも参加してみました。

国連関連の日本機関や、JICA、食料支援をビジネス化しようとしているベンチャーなどの職員募集に応募しました。

とにかく色々やってみて、就職応募に対する各組織の対応の仕方が本当にバラバラなのが良く分かりました。

キチンとした会社は、応募を受けた連絡と選考の合否の連絡をしてくれます。

この数年急上昇しているベンチャーのユーグレナ。
この会社は、高機能食品などで沢山名前を見る様になりました。
でも、会社の発足の狙いは、栄養満点のユーグレナを用いて、アジアの栄養不足児童を救いたいという事。

コンセプトに共感したので、応募してみました。
結果はNGだったのですが、その対応の良さには本当に感動しました。

応募受付連絡だけでなく、いつ頃選考が行われるのか、結果連絡も非常に丁寧です。
すっかりこの会社のファンになってしまいました。
こういう対応が出来る会社は、仕事の質も良いだろうと思いました。

逆に、ヒドイと思ったのは、国連活動に関連する日本の組織。私の好きな人物がその活動の日本大使をしているし、世界の困窮者に緊急支援をする重要な活動なのですが、その日本NPO法人は応募の受付連絡も結果連絡も何もありません。

JICAなどは募集時に、採用の時だけ結果連絡しますと明記されているので、納得は出来ます。

ですが、そのNPO法人の募集にはそういう前提は何も書いてありません。結果がどうなったのか?を質問メールしても全く返事もありません。

この組織は、国民から善意の募金を募る活動をしていますが、こういう不透明な仕事ぶりの組織には、私は今後はお金を託したくないと思いました。

組織により対応は様々で、その組織の体質がなんとなく分かる気がします。

私の再就職活動は、上記以外にスカウト系での話や、最近増えてきた派遣顧問の世界など色々と平行して展開していきました。

今後の20年ぐらいの間に、自分は何をしていきたいか。その為には、どう準備したら良いか、色々考えさせられます。

そんな事から、65歳以降は海外ボランティアにも行きやすい様に、QC検定の受験をしたりしました。

第2の人生は、自分で仕込んで作っていけばいいんだという当たり前の事が、やっと見えてきた気がします。