これは、九州のカルデラ噴火により日本がどうなっていくかのサスペンス小説です。
今までの日本の災害多発国という性質を無視した政治や行政の問題点をするどく指摘しながら、古来から何回も起こり、これからも起こる九州でのカルデラ噴火が、日本人の生活に、国土に、経済にどういう影響を与えていくのかが圧倒的な迫力で描写されています。
鬼界カルデラの噴火で、古代の西日本の縄文人が破滅的な事になり、日本中に縄文人が広がったという話は、以前に縄文についての本を読んだ時に知りましたが、それ以外に沢山のカルデラ噴火が九州では起こっており、眠っている事をこの本で知りました。
火砕流は海上を渡っていくという事も、頭では知っていましたが、どういう風にそれが起こるのか、火砕流の前後や周辺では何が起こるのかは、この本で初めて想像が少しできるようになりました。
火山の大噴火は本当に恐ろしい。
最近の台風の大風による災害、大雨洪水による災害など頻発、連発している日本ですが、地震、噴火もそろそろ起こって来ることが予見されていますので、日本は一体どうなってしまうのか。どういう暮らし方をするのが良いのか、途方にくれます。
台風の大停電に備えて太陽光発電システムが良いと言っても、噴火の火山灰が降れば全く用を成さない様になるでしょう。大地震に免震構造だと言っても、洪水で免振体にダメージを受けたり、火山灰で動作範囲が狭くなれば性能を発揮する事が出来なくなるでしょう。洪水に備えて高層階が良いと言っても、停電でエレベータが止まればになれば暮らしていけない。。。
一筋縄ではいかないのが、災害列島日本なのだと考えさせられました。
この本では、噴火で大ダメージを受ける日本で、総理大臣が「災い転じて福となす」政策を打ち出すという事になっていますが、内容はともかく、その様な大胆な発想の転換をもって国造りに臨まないといけないのだろうという気持ちになります。残念ながら現在の政権では、そこまで肝が据わっているいる人と長期の視点を持っている人はいないと思いますが。
2007年発刊の本ですが、今でも全く古びていないし、現実味がますます強まってきているテーマの本だと思いました。
2019年10月29日火曜日
2019年10月23日水曜日
【本】震災列島 石黒耀 講談社
これは2004年11月に売り出された本です。
ですが、2011年の東日本大災害を経験して、大津波とはどういう事になるのか、原発はどういう事になるのかを目の当たりにして、にわか学習した日本人が今読むと、この本の正確な、あまりに正確な予測に驚きます。
私は読んで、本当にビックリしました。
こういう事を予測できる知見が、既に日本にはずっと前からあったという事実にも驚きました。
こんなにクリアに原発のリスクと不合理が明確になっているのに、まだ政府が原発を推進しようとしているという現実に、また、関西電力の原発ワイロ元助役のニュースであるように原発の利権ドロドロの世界がますます深まっている状態に 本当にやるせない思いと落胆を感じます。
内容を書く事はしませんが、地震・津波・原発の世間の常識と現実の差を非常にリアルに描き切っている事に加えて、サスペンス小説としてもとても魅力的な面白い内容という事に感動を覚えました。
読み始めたら、どんどん引き込まれて止められない。
ベッドに入っても止められなくて、深夜まで読みふけってしまう。。。
東日本大震災の前に読んでいたら、きっと作者のフィクションが沢山入っている絵空事と感じながら読んだろうと思いますが、今の日本人が読んだら、そのリアリティと緻密な考察に改めて感心し、かつ非常によくできた小説と感じるのではないかと思います。
とにかく面白かったです。万人にお勧めな1冊です。
ですが、2011年の東日本大災害を経験して、大津波とはどういう事になるのか、原発はどういう事になるのかを目の当たりにして、にわか学習した日本人が今読むと、この本の正確な、あまりに正確な予測に驚きます。
私は読んで、本当にビックリしました。
こういう事を予測できる知見が、既に日本にはずっと前からあったという事実にも驚きました。
こんなにクリアに原発のリスクと不合理が明確になっているのに、まだ政府が原発を推進しようとしているという現実に、また、関西電力の原発ワイロ元助役のニュースであるように原発の利権ドロドロの世界がますます深まっている状態に 本当にやるせない思いと落胆を感じます。
内容を書く事はしませんが、地震・津波・原発の世間の常識と現実の差を非常にリアルに描き切っている事に加えて、サスペンス小説としてもとても魅力的な面白い内容という事に感動を覚えました。
読み始めたら、どんどん引き込まれて止められない。
ベッドに入っても止められなくて、深夜まで読みふけってしまう。。。
東日本大震災の前に読んでいたら、きっと作者のフィクションが沢山入っている絵空事と感じながら読んだろうと思いますが、今の日本人が読んだら、そのリアリティと緻密な考察に改めて感心し、かつ非常によくできた小説と感じるのではないかと思います。
とにかく面白かったです。万人にお勧めな1冊です。
2019年10月9日水曜日
【バレーボール】俄然 面白くなってきた男子バレー
リオ五輪以来見ていなかったバレーボールのTV中継を、このワールドカップは見ています。
2010年の世界バレーからロンドン、リオへと女子バレーばかりを見てきました。男子バレーは弱いし、ラリーがないのでつまらないという認識でした。
ところが、今年のワールドカップは、男子が非常に強くなっていて面白い。すっかり男子バレーファンになって連日見ています。
今年の男子バレーは、各選手のキャラがしっかり出来ていて、各々がいろいろなエキスパートになっている様に見えます。リベロの選手も頑張っていて、ラリーもある。強力なサーブで崩せる。そして今まで見たことの無いようなバックアタックしようとしていた選手が空中で急にトスを上げてサイドヒッターが打つというような、私から見たら驚きのコンビまで出てくる。
ロンドン五輪の時の女子バレーチームも、非常にキャラや特徴の際立った何人もの選手がいて、彼女らの有機的な組み合わせと、驚異的なレシーブの粘りでとても魅力的な試合をしてくれました。
今の男子バレーはそれに近い気がします。
まだまだ強化しなければいけない点(リベロ力やサーブミス、チームの結束力など)はありますが、それらが強化されれば東京五輪でも、かなり強いチームとして世界で戦えるのではないかと感じます。
思い起こせば、ミュンヘンへの道の男子バレーの8年間がバレーボールに興味を持った始まりです。あの時の 興奮やスリル感などが、今の男子チームを見ているよみがえります。
今、全日本男子バレーが面白い!
2010年の世界バレーからロンドン、リオへと女子バレーばかりを見てきました。男子バレーは弱いし、ラリーがないのでつまらないという認識でした。
ところが、今年のワールドカップは、男子が非常に強くなっていて面白い。すっかり男子バレーファンになって連日見ています。
今年の男子バレーは、各選手のキャラがしっかり出来ていて、各々がいろいろなエキスパートになっている様に見えます。リベロの選手も頑張っていて、ラリーもある。強力なサーブで崩せる。そして今まで見たことの無いようなバックアタックしようとしていた選手が空中で急にトスを上げてサイドヒッターが打つというような、私から見たら驚きのコンビまで出てくる。
ロンドン五輪の時の女子バレーチームも、非常にキャラや特徴の際立った何人もの選手がいて、彼女らの有機的な組み合わせと、驚異的なレシーブの粘りでとても魅力的な試合をしてくれました。
今の男子バレーはそれに近い気がします。
まだまだ強化しなければいけない点(リベロ力やサーブミス、チームの結束力など)はありますが、それらが強化されれば東京五輪でも、かなり強いチームとして世界で戦えるのではないかと感じます。
思い起こせば、ミュンヘンへの道の男子バレーの8年間がバレーボールに興味を持った始まりです。あの時の 興奮やスリル感などが、今の男子チームを見ているよみがえります。
今、全日本男子バレーが面白い!
2019年10月1日火曜日
【本】フューチャー・オブ・マインド ミチオ・カク NHK出版
副題が「心の未来を科学する」。
物理学者で一般人へ科学の前線を語る、科学の伝道師的な著者の翻訳本。
2015年の日本発刊なので、内容的には2013年までの科学について書かれていると思えばよさそうです。
という事で、本当に最前線かと言えば、既にそうではない(例えば、AIやディープラーニング等についてはこの本の後で大いに盛り上がっていますね)という事を認識しながら読む必要があります。
でも、そうだったのか!と思う内容も沢山書かれていて面白い。
欧米本の翻訳なので、日本人には冗長で長すぎる記述は我慢しても、我慢のしがいがある本だと思いました。
そうだったのか!と思った点を簡単に上げておきます。
脳の事をキチンと調べられ始めたのは、MRIや脳磁気センサ、PET等が発明されて普及してきたこの20年ほどの事。それまで、脳や精神などについては、哲学や思い込みなどで語られているだけだったのが、つい最近から科学できる様になってきた。
今は、世界中でデータ集めや実験などが進められている状態。きっと、近い将来かなりの事が分かってくるのではないか。
脳には右脳と左脳がある。それをつなぐ脳梁という部分があるが、それが切断されて左右が独立になった人には何が起こるか。通常は左脳(論理的に考える)が右脳をコントロールしているが、独立脳になったら右脳と左脳は違う考え方をするらしい。例えば右目(左脳)だけに見えるようにして何になりたい?と質問した時の答えと、左目(右脳)だけに質問した時では答えが異なる。また、右手と左手が勝手な動きをしてしまい、片手でもう片手を抑えていなければならない時があるとの事。
誰でも、右脳と左脳で本当は二重人格になっているという事なんですね。
それ以前に、自分の一人の考えと思っている事は、実は脳で多様な信号がせめぎ合っていて連続的ではない。それを円滑につながっていると自分で勝手に認識しているらしい。
BMI(ブレイン マシン インターフェース)を研究しているところが多い。脳の信号を読み取ってコンピュータに入れて解釈したり、機械を動かしたりする。
脊髄損傷で全身不随の人でも、コンピュータを介して他の人とコミュニケートしたり、道具を動かしたりする事ができる。又、どんな夢を見ていそうなのかも読み取れる可能性がある。
記憶を消したり、書き込んだりも動物実験ではある程度できつつある様子。
サヴァンの人は、左脳にダメージを受けてなる事が多いらしい。右脳に潜んでいた才能が一気に出てくるのかもしれない。
1953年CIAは巨額を使って、マインドコントロールの研究をした。
自白剤の開発、記憶の消去、催眠術や各種薬物での行動コントロール、即効性の催眠剤、薬物によって従順な人間にする人格改造など。
色々研究したが、どれも不安定で確実性がないという結論。
ただし、脳の島(脳深部の前頭前皮質と側頭皮質の間にある)の活動を鈍らせれば、麻薬、アルコールなどの依存症から離脱しやすいという事はわかった。
そう鬱病は左右脳のアンバランスから来ている可能性がある。左半球が強いと妄想やそう状態になる。右半球が強いと悲しみなどの否定的感情=うつ状態になる。
重度脳障害を受けて昏睡状態になっている人に、脳の視床まで電極を入れて電気を流す事(DBS:脳深部刺激術)で深い昏睡から目覚めさせる事ができた。
これ以外にも、心とエネルギーや幽体離脱、ロボット、AI、エイリアンについてなど盛沢山な内容が書かれています。
興味のある方は、ぜひ一度 読まれると面白いかもしれません。
物理学者で一般人へ科学の前線を語る、科学の伝道師的な著者の翻訳本。
2015年の日本発刊なので、内容的には2013年までの科学について書かれていると思えばよさそうです。
という事で、本当に最前線かと言えば、既にそうではない(例えば、AIやディープラーニング等についてはこの本の後で大いに盛り上がっていますね)という事を認識しながら読む必要があります。
でも、そうだったのか!と思う内容も沢山書かれていて面白い。
欧米本の翻訳なので、日本人には冗長で長すぎる記述は我慢しても、我慢のしがいがある本だと思いました。
そうだったのか!と思った点を簡単に上げておきます。
脳の事をキチンと調べられ始めたのは、MRIや脳磁気センサ、PET等が発明されて普及してきたこの20年ほどの事。それまで、脳や精神などについては、哲学や思い込みなどで語られているだけだったのが、つい最近から科学できる様になってきた。
今は、世界中でデータ集めや実験などが進められている状態。きっと、近い将来かなりの事が分かってくるのではないか。
脳には右脳と左脳がある。それをつなぐ脳梁という部分があるが、それが切断されて左右が独立になった人には何が起こるか。通常は左脳(論理的に考える)が右脳をコントロールしているが、独立脳になったら右脳と左脳は違う考え方をするらしい。例えば右目(左脳)だけに見えるようにして何になりたい?と質問した時の答えと、左目(右脳)だけに質問した時では答えが異なる。また、右手と左手が勝手な動きをしてしまい、片手でもう片手を抑えていなければならない時があるとの事。
誰でも、右脳と左脳で本当は二重人格になっているという事なんですね。
それ以前に、自分の一人の考えと思っている事は、実は脳で多様な信号がせめぎ合っていて連続的ではない。それを円滑につながっていると自分で勝手に認識しているらしい。
BMI(ブレイン マシン インターフェース)を研究しているところが多い。脳の信号を読み取ってコンピュータに入れて解釈したり、機械を動かしたりする。
脊髄損傷で全身不随の人でも、コンピュータを介して他の人とコミュニケートしたり、道具を動かしたりする事ができる。又、どんな夢を見ていそうなのかも読み取れる可能性がある。
記憶を消したり、書き込んだりも動物実験ではある程度できつつある様子。
サヴァンの人は、左脳にダメージを受けてなる事が多いらしい。右脳に潜んでいた才能が一気に出てくるのかもしれない。
1953年CIAは巨額を使って、マインドコントロールの研究をした。
自白剤の開発、記憶の消去、催眠術や各種薬物での行動コントロール、即効性の催眠剤、薬物によって従順な人間にする人格改造など。
色々研究したが、どれも不安定で確実性がないという結論。
ただし、脳の島(脳深部の前頭前皮質と側頭皮質の間にある)の活動を鈍らせれば、麻薬、アルコールなどの依存症から離脱しやすいという事はわかった。
そう鬱病は左右脳のアンバランスから来ている可能性がある。左半球が強いと妄想やそう状態になる。右半球が強いと悲しみなどの否定的感情=うつ状態になる。
重度脳障害を受けて昏睡状態になっている人に、脳の視床まで電極を入れて電気を流す事(DBS:脳深部刺激術)で深い昏睡から目覚めさせる事ができた。
これ以外にも、心とエネルギーや幽体離脱、ロボット、AI、エイリアンについてなど盛沢山な内容が書かれています。
興味のある方は、ぜひ一度 読まれると面白いかもしれません。
2019年9月27日金曜日
【本】ドイツ人はなぜ、1年に150日休んでも仕事が回るのか 熊谷徹 青春出版社
ドイツ人の考え方、風習、しくみが良くわかります。
日本でも、有給休暇を年5日が義務化されました。法制化しないと有休をとらない、とりにくい社会がまだまだ日本では続いています。
メーカーでは80年代や90年代のモーレツ時代に比べたら、国内の事業所は殆どの人がホワイトカラー的にパソコンとニラメッコして過ごすようになった現代は、リモートやフレックス、裁量も含めて仕事の仕方の自由度がかなり広がったと思いますが、スパっと休むという事がまだまだ苦手な気がします。
対して、ドイツではその年にとれる有休の完全消化が上司から強制されるとの事。
このギャップが何から来るのか、それが成り立つ仕事の仕方はどうなっているのか?
そんなに休んでも、ドイツの成長率は高く、国としての借金もゼロになり、黒字化できています。
考え方一つで、社会は変わるという事ですね。
ドイツ人の休みの取り方は2週間以上連続が当たり前。
1週間目はどうしても会社の事が頭にこびりついていて、本当にリフレッシュできるのは2週間目からという事。
皆 職場の全員が有休を取るので、誰が休んでいても仕事が止まらないように、誰でも資料を見つけられるようなファイリングや仕事の進め方が徹底されている。文房具のバインダーも、標準化が徹底されているので、どこでどの商品を買ってもそのまま使える。
部下が有休をとれていないと、上司への評価は悪くなる。上司も部下に有休取得させることに必死。
一人ひとりの労働時間が短くても国として成長できるように、国が方向を決めて成長戦略を進めている。現在は「インダストリー4.0」。物や機械をデジタルでつなぎ、少量多品種などでも柔軟に人手をかけずにできる仕組み作りなどを進めている。
ドイツ国も多額の借金があったが、今では借金解消し黒字にもなっている。
ドイツがEUの中で今 経済的成功を得ているのは、2003年からの行き過ぎた社会保障をやめ、非就業者を職につける(人材派遣形態など)施策を打った事が実を結んでいる。これにより、失業率は大きく減ったが、低賃金労働者が増えた。
ドイツは解雇もしにくい法律がある。その代わり、会社の調子が悪いときは従業員をリストラするのではなく、就業時間を減らす事で人件費を減らす。給料が減らされた人は
減らされた分の60%以上を政府が補助するという仕組みがある。
こういう様に、社会保障が手厚くなっており、ドイツは社会的市場主義経済といわれている。
米英は純粋な資本主義なので、小さな政府=社会保障が薄い→健康保険制度なども薄い→何かあった時のセーフティネットがない→訴訟して金をとるしかない→訴訟社会となり弁護士が沢山いる。 という構図になっている。
又、10歳のテストで子供の将来の進路がかなり決まってしまうというドイツの仕組みも、この有休や時短の考え方に影響を与えているとの事。
この本を読んで、どういう暮らし方をしたいのか、それを実現するにはどいうやり方が必要なのか。という考え方ひとつで社会のしくみを政治で作っていくことができる良い例のように思いました。
日本でも、有給休暇を年5日が義務化されました。法制化しないと有休をとらない、とりにくい社会がまだまだ日本では続いています。
メーカーでは80年代や90年代のモーレツ時代に比べたら、国内の事業所は殆どの人がホワイトカラー的にパソコンとニラメッコして過ごすようになった現代は、リモートやフレックス、裁量も含めて仕事の仕方の自由度がかなり広がったと思いますが、スパっと休むという事がまだまだ苦手な気がします。
対して、ドイツではその年にとれる有休の完全消化が上司から強制されるとの事。
このギャップが何から来るのか、それが成り立つ仕事の仕方はどうなっているのか?
そんなに休んでも、ドイツの成長率は高く、国としての借金もゼロになり、黒字化できています。
考え方一つで、社会は変わるという事ですね。
ドイツ人の休みの取り方は2週間以上連続が当たり前。
1週間目はどうしても会社の事が頭にこびりついていて、本当にリフレッシュできるのは2週間目からという事。
皆 職場の全員が有休を取るので、誰が休んでいても仕事が止まらないように、誰でも資料を見つけられるようなファイリングや仕事の進め方が徹底されている。文房具のバインダーも、標準化が徹底されているので、どこでどの商品を買ってもそのまま使える。
部下が有休をとれていないと、上司への評価は悪くなる。上司も部下に有休取得させることに必死。
一人ひとりの労働時間が短くても国として成長できるように、国が方向を決めて成長戦略を進めている。現在は「インダストリー4.0」。物や機械をデジタルでつなぎ、少量多品種などでも柔軟に人手をかけずにできる仕組み作りなどを進めている。
ドイツ国も多額の借金があったが、今では借金解消し黒字にもなっている。
ドイツがEUの中で今 経済的成功を得ているのは、2003年からの行き過ぎた社会保障をやめ、非就業者を職につける(人材派遣形態など)施策を打った事が実を結んでいる。これにより、失業率は大きく減ったが、低賃金労働者が増えた。
ドイツは解雇もしにくい法律がある。その代わり、会社の調子が悪いときは従業員をリストラするのではなく、就業時間を減らす事で人件費を減らす。給料が減らされた人は
減らされた分の60%以上を政府が補助するという仕組みがある。
こういう様に、社会保障が手厚くなっており、ドイツは社会的市場主義経済といわれている。
米英は純粋な資本主義なので、小さな政府=社会保障が薄い→健康保険制度なども薄い→何かあった時のセーフティネットがない→訴訟して金をとるしかない→訴訟社会となり弁護士が沢山いる。 という構図になっている。
又、10歳のテストで子供の将来の進路がかなり決まってしまうというドイツの仕組みも、この有休や時短の考え方に影響を与えているとの事。
この本を読んで、どういう暮らし方をしたいのか、それを実現するにはどいうやり方が必要なのか。という考え方ひとつで社会のしくみを政治で作っていくことができる良い例のように思いました。
2019年9月22日日曜日
【本】イスラエルがすごい 熊谷徹 新潮新書
この15年ぐらい、日本のメーカーもオープンテクノロジーと言って、自前主義ではなくて、社内にない技術は積極的に社外から導入しようという話が出てきています。
企業買収という話も一時盛んでしたし、大学との連携というような話、異分野の企業とコンソーシアムの様なものを組むというのも流行りました。
シリコンバレーでのベンチャーの勃興というのが一つのきかっけだと思います。
その流れはすっかり定着してきていますが、その先端技術、面白い技術としてイスラエル発という案件もこの5年ぐらいかなり耳にしたり、実際にコンタクトして付き合ったりもしてきています。
自動車の安全システムに関連する仕事をしている人は、数年前にモービルアイという自動認識カメラ(前方の物体を車か人かなど判別できる)がその世界をあっという間に席巻したことを知っていると思います。このモービルアイがイスラエルの技術で、インテルに巨額で買収された事も。
最初にイスラエルと聞いた時には、中東の小国だけど、どうしてハイテク? という疑問を持った記憶があります。でも、軍隊での習得した軍事技術を使って、退役した人がベンチャーをやっていると聞いて成程とボンヤリ思っていました。
この本を読んで、どうしてイスラエルが中東のシリコンバレーになっているのかが良くわかりました。
イスラエル国防軍に8200部隊という電子諜報部隊があるそうで、そこの出身隊員たちがベンチャーを色々と始めているらしい。(勿論、その他の部隊卒でベンチャーをやっている企業もあるらしいが)
よって、セキュリティ関係(民間企業のセキュリティファイアウォールや、コネクテッド自動車のセキュリティ専門など)のベンチャーも多いとの事。
そして、イスラエスのベンチャーは20社に1社ぐらいは大手企業に買収されるexitができているとの事。これはなかなか高確率。
買ったり、投資したりしているのは、欧米のみならず中国からも膨大な資金が動いているらしい。
ドライビングフォースになっている8200部隊は、徴兵制(18-20歳)で若者に国防を直接担わせる。そのために16歳の時から、素質や能力、創造性、適正に関するスクリーニング検査を行い、ITに関する豊富な知識や他の人とは違った発想法など、特殊な才能を持つ若者だけが8200部隊に配属する。ここに配属されるのは、0.01%という選りすぐられた者だけ。8200部隊は米国の世界最大の電子諜報機関NSA(国家安全保障局)に引けをとらない内容を持っている。
そして、イスラエルのベンチャー大国となった理由の一つに「規制の考えにとらわれない自由な発想」「自分の頭で考え、知恵を絞れ」という考え方がある。
8200部隊に配属された若い兵士たち(男女)は、上官から極めて難しい課題を与えられる。上官は課題を与えるだけで、どのように解決したらよいかの指導は一切しない。
「自分の頭で考え、知恵を絞れ」である。赤ん坊を水の中に投げ込んで、自分で泳ぐことを体得させるような教育法。
この経験は、除隊後 ゼロから始めるベンチャー企業をスタートさせる時に大いに役に立つ。
つまり、8200部隊の強さの秘密は、常識や伝統を超えた発想ができる若者を集めているから。
「8200部隊に入れる若者は、ITの天才だけではない。軍は、若者が従来の常識にとらわれない発想ができるかどうかを、最も重視する。つまり、通常人には見えないような、現象や相関関係を見ることができる人々だ。この要件を満たさないと、8200部隊には入れない」
又、「自分の頭で考える」という事はユダヤ人の、さんざん周囲が豹変して苦しめられてきた歴史に元ずく価値観に結びついている。
「我々イスラエル人は、あらゆる権威を疑う。政治や企業の上司などのいう事を絶対に鵜呑みにせず、疑ってかかり、質問攻めにする。我々は、権威に対する畏れを持っていない」
イスラエル国防軍の兵士たちは、上官の命令が不合理だと思ったら、「その命令はおかしい」と言って別のやり方を提案する権利がある。兵士たちが命令に服従するのは、上官の命令が理にかなっていると思った時だけだ。なぜならば、上官も誤った判断をしている可能性があるからだ。「すべてのことを疑い、質問せよ」というイスラエル人の大原則がここに生きている。
もう一つ、イスラエルがベンチャー国家になれた理由は、ソ連の崩壊に伴い、ソ連で高等教育を受けた者や技術、科学等での優秀なユダヤ人がイスラエスに一気大量に1990年台に移民してきた事。
又、イスラエルは周りを敵国に囲まれた四面楚歌の状態であり、不毛な砂漠の地から国を作る必要があるという事で、すべてを自分たちで作り上げる必要があるから。
軍事技術も、生活技術も。
現在、米国(特にトランプなどは)、欧州、中国から熱い視線と投資を浴びて親密な関係を作っているが、それでも何時でも何物にも包含されずに、自分自身の独立性は維持確保する。 それがイスラエルという国との事。
日本の、長いものには巻かれろ 主義とは真逆で、非常に興味深い国だという事が良くわかりました。
企業買収という話も一時盛んでしたし、大学との連携というような話、異分野の企業とコンソーシアムの様なものを組むというのも流行りました。
シリコンバレーでのベンチャーの勃興というのが一つのきかっけだと思います。
その流れはすっかり定着してきていますが、その先端技術、面白い技術としてイスラエル発という案件もこの5年ぐらいかなり耳にしたり、実際にコンタクトして付き合ったりもしてきています。
自動車の安全システムに関連する仕事をしている人は、数年前にモービルアイという自動認識カメラ(前方の物体を車か人かなど判別できる)がその世界をあっという間に席巻したことを知っていると思います。このモービルアイがイスラエルの技術で、インテルに巨額で買収された事も。
最初にイスラエルと聞いた時には、中東の小国だけど、どうしてハイテク? という疑問を持った記憶があります。でも、軍隊での習得した軍事技術を使って、退役した人がベンチャーをやっていると聞いて成程とボンヤリ思っていました。
この本を読んで、どうしてイスラエルが中東のシリコンバレーになっているのかが良くわかりました。
イスラエル国防軍に8200部隊という電子諜報部隊があるそうで、そこの出身隊員たちがベンチャーを色々と始めているらしい。(勿論、その他の部隊卒でベンチャーをやっている企業もあるらしいが)
よって、セキュリティ関係(民間企業のセキュリティファイアウォールや、コネクテッド自動車のセキュリティ専門など)のベンチャーも多いとの事。
そして、イスラエスのベンチャーは20社に1社ぐらいは大手企業に買収されるexitができているとの事。これはなかなか高確率。
買ったり、投資したりしているのは、欧米のみならず中国からも膨大な資金が動いているらしい。
ドライビングフォースになっている8200部隊は、徴兵制(18-20歳)で若者に国防を直接担わせる。そのために16歳の時から、素質や能力、創造性、適正に関するスクリーニング検査を行い、ITに関する豊富な知識や他の人とは違った発想法など、特殊な才能を持つ若者だけが8200部隊に配属する。ここに配属されるのは、0.01%という選りすぐられた者だけ。8200部隊は米国の世界最大の電子諜報機関NSA(国家安全保障局)に引けをとらない内容を持っている。
そして、イスラエルのベンチャー大国となった理由の一つに「規制の考えにとらわれない自由な発想」「自分の頭で考え、知恵を絞れ」という考え方がある。
8200部隊に配属された若い兵士たち(男女)は、上官から極めて難しい課題を与えられる。上官は課題を与えるだけで、どのように解決したらよいかの指導は一切しない。
「自分の頭で考え、知恵を絞れ」である。赤ん坊を水の中に投げ込んで、自分で泳ぐことを体得させるような教育法。
この経験は、除隊後 ゼロから始めるベンチャー企業をスタートさせる時に大いに役に立つ。
つまり、8200部隊の強さの秘密は、常識や伝統を超えた発想ができる若者を集めているから。
「8200部隊に入れる若者は、ITの天才だけではない。軍は、若者が従来の常識にとらわれない発想ができるかどうかを、最も重視する。つまり、通常人には見えないような、現象や相関関係を見ることができる人々だ。この要件を満たさないと、8200部隊には入れない」
又、「自分の頭で考える」という事はユダヤ人の、さんざん周囲が豹変して苦しめられてきた歴史に元ずく価値観に結びついている。
「我々イスラエル人は、あらゆる権威を疑う。政治や企業の上司などのいう事を絶対に鵜呑みにせず、疑ってかかり、質問攻めにする。我々は、権威に対する畏れを持っていない」
イスラエル国防軍の兵士たちは、上官の命令が不合理だと思ったら、「その命令はおかしい」と言って別のやり方を提案する権利がある。兵士たちが命令に服従するのは、上官の命令が理にかなっていると思った時だけだ。なぜならば、上官も誤った判断をしている可能性があるからだ。「すべてのことを疑い、質問せよ」というイスラエル人の大原則がここに生きている。
もう一つ、イスラエルがベンチャー国家になれた理由は、ソ連の崩壊に伴い、ソ連で高等教育を受けた者や技術、科学等での優秀なユダヤ人がイスラエスに一気大量に1990年台に移民してきた事。
又、イスラエルは周りを敵国に囲まれた四面楚歌の状態であり、不毛な砂漠の地から国を作る必要があるという事で、すべてを自分たちで作り上げる必要があるから。
軍事技術も、生活技術も。
現在、米国(特にトランプなどは)、欧州、中国から熱い視線と投資を浴びて親密な関係を作っているが、それでも何時でも何物にも包含されずに、自分自身の独立性は維持確保する。 それがイスラエルという国との事。
日本の、長いものには巻かれろ 主義とは真逆で、非常に興味深い国だという事が良くわかりました。
2019年9月21日土曜日
【本】人類、宇宙に住む ミチオ・カク NHK出版
著者はニューヨーク市立大学の理論物理学教授で、米国でTV等を通じて最新科学を一般聴取者に情熱的に伝える人との事。
2019年4月に発刊されたばかりの本です。
予備知識もミチオ・カク博士という名前も知らずに読み始めたのですが、400ページ以上もある分厚い本を引き込まれる様に読んでいました。
アポロ計画を踏まえて、現在の地球でおこなわれつつある、宇宙技術(スペースX等民間の動きや、各国の機関の動き)の現状や、月や火星目指した各種プランについて、ロケットエンジン技術に今と今後について、などホットな話題が分かりやすく書かれています。
そこまでの内容だと、他にもいろいろな本やニュースサイトもあると思うのですが、この本の良いのはその次として、宇宙に人類が進出しようとしたら直面するだろう課題とそれに対するいろいろなアイデア・検討についての最新が詳しく書かれている事。
また、さらに他の星系に進出する具体ステップや、最後に銀河的に発展するにはどういう文明が必要か、どういう文明になっているのかを人類に限らずに考察が述べられている事です。
銀河レベルに進むには、宇宙の構造を理解する必要があり、そのためにはまだ解明されていない理論物理(統一場理論や ひも理論の可能性など)の課題などへのつながりも良くわかるように書かれています。
部分部分の単語などは、今までも耳に入ってきたものばかりかもしれませんが、それらが人類の宇宙進出に於いてどういうつながりを生むのかが考えられる絶好の一冊と思いました。
私の知らなかった事、例えば太陽系を包み込んでいるオールトの雲(小惑星などが沢山浮いている空間)が、隣の星系までの真ん中ぐらいまで広がっているとの事。となると、そこに浮かぶ小惑星を伝っていくことで4光年先の隣の星へ渡っていくことが現実解として具体的にできる可能性があるらしい事。などはとても興味をそそられました。
この本は、中高生の方々に読んでもらいたいなと思いました。
科学と人類の未来に対する夢を持てる、久々にポジティブな本です。
こういう話をTVで聞く米国の少年少女達は、ハッピーだなとも思います。
NHK出版の本なのですから、ミチオ・カク博士を呼んで科学番組を作って日本でも放送してくれれば良いのに。
日本の科学技術力回復には、小中高生が科学への夢を持てるかにかかっていると思いますので。
2019年4月に発刊されたばかりの本です。
予備知識もミチオ・カク博士という名前も知らずに読み始めたのですが、400ページ以上もある分厚い本を引き込まれる様に読んでいました。
アポロ計画を踏まえて、現在の地球でおこなわれつつある、宇宙技術(スペースX等民間の動きや、各国の機関の動き)の現状や、月や火星目指した各種プランについて、ロケットエンジン技術に今と今後について、などホットな話題が分かりやすく書かれています。
そこまでの内容だと、他にもいろいろな本やニュースサイトもあると思うのですが、この本の良いのはその次として、宇宙に人類が進出しようとしたら直面するだろう課題とそれに対するいろいろなアイデア・検討についての最新が詳しく書かれている事。
また、さらに他の星系に進出する具体ステップや、最後に銀河的に発展するにはどういう文明が必要か、どういう文明になっているのかを人類に限らずに考察が述べられている事です。
銀河レベルに進むには、宇宙の構造を理解する必要があり、そのためにはまだ解明されていない理論物理(統一場理論や ひも理論の可能性など)の課題などへのつながりも良くわかるように書かれています。
部分部分の単語などは、今までも耳に入ってきたものばかりかもしれませんが、それらが人類の宇宙進出に於いてどういうつながりを生むのかが考えられる絶好の一冊と思いました。
私の知らなかった事、例えば太陽系を包み込んでいるオールトの雲(小惑星などが沢山浮いている空間)が、隣の星系までの真ん中ぐらいまで広がっているとの事。となると、そこに浮かぶ小惑星を伝っていくことで4光年先の隣の星へ渡っていくことが現実解として具体的にできる可能性があるらしい事。などはとても興味をそそられました。
この本は、中高生の方々に読んでもらいたいなと思いました。
科学と人類の未来に対する夢を持てる、久々にポジティブな本です。
こういう話をTVで聞く米国の少年少女達は、ハッピーだなとも思います。
NHK出版の本なのですから、ミチオ・カク博士を呼んで科学番組を作って日本でも放送してくれれば良いのに。
日本の科学技術力回復には、小中高生が科学への夢を持てるかにかかっていると思いますので。
登録:
投稿 (Atom)