2018年12月6日木曜日

【家 住み手が書く】爽やかで、頼もしい家を創る11 地震対策 家の形を考える

九州地震の調査を見ると、幾つか特徴的な事があります。

倒壊が多かったのは、瓦屋根の家、1Fと2Fで共通壁が少なかった家。

損傷では、最初の揺れは耐えても、第2弾の本震でやられた物も多い。

免震構造のビルでも、想定より大きな揺れがくるとゴムやダンパーの可動範囲を超えて周囲にぶつかりダメになりそうだった事。

全壊は少ないが、半壊や壁にヒビ等はかなり多い事。

等々。

これらの情報を下に、

1.家の形は出来るだけ立方体(サイコロ)形状に近づける。
⇒揺れに強いし、断熱効率にも良い。総二階。

2.屋根は軽くし、重心を低くする。
⇒軽い屋根材を使い、太陽光発電や太陽熱温水などを上に置くことはしない。又、断熱も屋根断熱ではなく天井断熱とした事も重心を少しでも低く押さえる事に寄与しています。

3.耐震設計は3とする。

4.壊れにくく、修理もしやすい(出来るだけ単純な)屋根の形にする。
⇒切妻屋根。

5.壁に、もしもクラックが入っても重大事態にならない様にする。

事を決めました。

構造体は鉄骨方式や壁工法が有利なのは分かっていましたが、透湿工法との相性が悪いので木造軸組み工法で上記1~5を指針に作る事にしました。

木造軸組みでも、TIP構法などの半柔構造(と思う)のやり方もありましたが、今回は通常の方法で作る事にしました。


又、間取りも1Fと2Fの壁共通性を意識する事と、何かあった時に必ず各部屋2方向には逃げられる道を確保するようにしました。

2018年12月5日水曜日

【家 住み手が書く】爽やかで、頼もしい家を創る10 地震対策 危険度を調べる

次に、地方自治体(私の場合は、当該市、近隣市、東京都)のハザードマップ、防災計画を調べます。ハザードマップもネットで読めますので便利です。


地震時の震度予想や、洪水地域か否か、火事が起こりやすい所か否か などが分かります。
私の場合は、近くに大きな断層が通っていて、首都直下地震のいくつかあるケースの一つに数えられており、地震が起こると震度6強が予想されるという事が分かりました。


又、数年前の九州の大地震の調査結果から、表層地盤は地震の震度を増幅する可能性があるという事が言われ始めている事を知りました。


そして、国の防災科学研究所のWebに、各地の表層地盤での増幅率が出ているのを見つけました。私の土地の場合はx1.2~1.4の増幅率でした。


ハザードマップの震度6強という表示は、この増幅率が組み込まれているのか否なのかが良く分かりませんが、ハザードマップが作られたのは九州地震の前の様ですので、組み込まれていないという前提で考える事にしました。


後ほど書くと思いますが、震度6強というのは相当に強いレベルです。
震度は7までしか区分けがなく、7は上限のない無限大の揺れまでが入ります。
そういう意味で震度6強というのは科学的に示せる最も大きな地震のレベルと言えます。

2018年12月4日火曜日

【家 住み手が書く】爽やかで、頼もしい家を創る9 地震対策 土地を調べる

いよいよ、具体的な話になります。

まずは、その土地がどういう処なのかを調べました。

昔はどういう使われ方をしていたか。

水田や沼があった所などは液状化の可能性がある様な記事を読んだ事がありました。
そこで、ネットの古地図で昔(と言っても明治ぐらいかな)はどうなっていたのかを見ました。

ラッキーな事に、桑畑でしたので一安心。

もし、液状化の可能性があると地盤改良をしなければならなくなります。

とは言っても、実際に建築をする前に地盤調査もしました。

スウェーデン式(SWS調査というらしい)というやり方で地盤を調べる事が一般的と言われていますが、設計士さん、工務店さんからのアドバイスとして、SWS調査は誤差が大きく、本当は不要なのに地盤改良が必要と言われる事があるとの事。


SDS調査(スクリュードライバーサウンディング)ではトルクも調べるので土質も分かり、判定を誤る確率は低くなるとの事。
値段もそれほど高くなかったので、SDSでもお願いをしました。


結果、地盤改良は不要。又、地下のどれぐらいの深さからどういう地質に変わっているのかも知る事ができました。


又、大きな書店に行き、国土地理院発行の1万分の1地形図も買いました。これには、2m毎の等高線が書かれているので、土地の高低差を読み取る事ができます。

地震とは異なりますが、もし、大雨や洪水になったら、水はどちらの方向に流れるのかもイメージする事ができます。

2018年12月2日日曜日

【本】忍者はすごかった 山田雄司 幻冬舎新書

著者は三重大学の教授の方。ちゃんと学術的に調べて書かれているのだと思います。

「万川集海」という最も大部な忍術書が伝わっているとのこと。


それによると、忍者は「黒装束で素早く動き、手裏剣を打つ、、」というイメージは作られた物で、本当の姿は全然違ったとのこと。


「忍び」の最も重要な職務は敵方の状況を主君に伝える事だったため、生き延びて戻ってくる必要があった。その為、生きて生きて生き抜く事。サバイバル術に長けた者。それが忍びだった。


色々な技術もありますが、それと同時に人から秘密を引き出す為のあの手この手の技術が重要。


それら「忍術」は非常に具体的で、現代でも十分通用するものが多そうです。


一つの例では、

ある家に侵入したいと思うのなら、その家の前をしばしば通り、あつるときにはその門の前で仮病を発し、門前で休んでその家の下人に薬や水を頼み、しばらくして病気が治ったようにふるまい、家の中に入ってよくお礼を言って知人となって、一旦は帰る。

後日 届け物を持って丁寧に礼を述べて親しくなるようにする。その時には、まずはその家の子供をほめ、奥方に贈り物をし、次に下人に贈り物をすれば、主人は非常に喜び、気を許して深い話もしてくれるようになる。


もう一つ、こんな話も

師が上手な弟子に、「大きな瓶を盗んで来い」と言った。弟子は「なかなか日中に大きな瓶を盗んでくることは難しい」と言うので、師は「行って取ってこよう」ということで、瓶屋に行って買ってきた。

弟子たちはこぞってこれを笑った。そのとき師は言った。

 「だからお前たちは下手というものなのだ。瓶を取ってこようと思うと、一途に瓶ばかりに心がいってしまう。私はそのあたりで小さい猪口を十ばかり盗んで袖に入れ、これを売って大きな瓶を買ってきた。すなわち色を替える術なのである」


皆が考えつくような方法では、対策がとられていて忍びこむことはできません。相手が考えないような方法を駆使することによって意表を突き、初めて忍び込むことができる。


「忍法」の本、色々 読んでみたくなりました。

2018年11月30日金曜日

【家 住み手が書く】爽やかで、頼もしい家を創る8 どういう関係を作るか

家の購入や新築は、家電製品とは異なり、殆どの人は一生に1-2度しか行わない大イベント。かつ一度作ったら簡単には変更できず、その後数十年もその結果と付き合わなければなりません。


「失敗したくない、失敗は許せない」作業という気持ちになります。


軽はずみな判断や、ある一面だけを見て判断するという事は避ける必要があります。


その為には、設計・施工してもらう人とどれだけ密にコミュニケートして、ディスカスの中で施主が漠然と持っているイメージをいかに具現化してもらうか、又は誤った考えを正してもらえるか。

さらに望ましいのは、施主と一緒に悩み。知恵だししてくれるかが大きなポイントになります。


ハウスメーカーに頼むにせよ、設計事務所や工務店に頼むにせよ、担当してくれる人がどういう人なのかを良く見極めてから契約する事が重要だと思います。


私の場合は、ジョイ設計事務所の寺田さん、株式会社丸清の河内さんというとても素晴らしい方々と巡り会えて本当に助かりました。ラッキーでした。感謝しています。


プランを作り、細部を決めていく過程で、毎週の様に、平日の夜7時頃に集合して9時すぎまで、多くの事を3人でディスカスをしていきました。


建築シロウトの私に良く付き合っていただけたと思います。
色々と質問させてもらい教えていただいて理解できましたし、逆にシロウト視点で質問していく事で、新しいアイデアも幾つか産む事が出来ました。


プロの方々の言われる事は間違いないだろう。従来の常識のやり方も間違いないだろう。 「だから、お任せします」というスタンスは止めるのが良いと思いました。


自分の狙いの家を実現したいならば、疑問点は徹底的に聞く、別の選択肢はないのか?と絶えず問いかける という事が重要だと思いました。


設計士さんも、工務店さんも経験されている家の軒数は年に多くて数十軒でしょう。
建築材料や技術も年々進化していますし、彼らが全てをご存知の訳はありません。


「お任せ」してしまうと、彼らの過去経験の中の手慣れたやり方にどうしても偏ってしまいます。


現時点でのベストは何かを、一緒に考えて研究してもらえる環境を作れると良いです。


後は、自分の狙いと似たコンセプトで作られた家を家庭訪問させていただき、実際の状況や住んでみての感想を直に聞かせてもらうこと。私も2軒のお宅を訪問させて頂き、沢山の気づきを得る事ができました。


チームとなる事が、本当に重要だと思いました。

2018年11月29日木曜日

【家 住み手が書く】爽やかで、頼もしい家を創る7 パートナーの探し方

大手ハウスメーカーで適当な所がなかったのですが、落ち着いて考えてみると、レディメードの商品を選んで購入するという「買い物」では、折角大金をはたいても住んでみて不満や後悔を生みそうです。


やはり、各部分まで自分で理解、納得できるように、十分な説明を聞いたりやディスカスをしながら作っていきたいと考え始めました。


そこで、次はセルローズファイバーを使った透湿工法での家創り経験が豊富な設計士さんを探しました。


偶然 妻が訪問した教会がセルローズファイバーを使って建てられていて、とても気持ちの良い所だったとの事で、その設計事務所を調べました。


そこはジョイ設計事務所さんという所で、早速 私のコンセプト「気持ちよく・健康」、「安心」、「低ランニングコスト」の説明資料を持って会いに行きました。


突然の問い合わせにも関らず、とても気さく且つ親身になって相談に乗っていただけました。


間取り案も含めて何度もディスカスを重ね最終的に、耐震構造をいれた木造軸組み方式でセルローズファイバーを用いた透湿工法とパッシブハウス手法を組み込むという方針を固めました。


その方針の下、天龍材の檜と杉の製材所を自社で持ち木材を熟知し、セルローズファイバーの扱いにも慣れている。そして、昔から長く地元で続けてこられている工務店の丸清さんに施工をお願いする事にしました。


丸清さんは、以前もジョイ設計さんと一緒に仕事をした事があって、大工さんチームも含めてその実力が良く分かっているので安心との事でした。


木造の作り方では2x4等の壁構造方式も考えましたが、地震にはかなり有利ですが、そこで使う板は合板になりますので透湿性が低く、湿気の吸排出が阻害されるので検討から外しました。

2018年11月28日水曜日

【家 住み手が書く】爽やかで、頼もしい家を創る6 どうやって実現?

どうすれば具現化できそうかというヒントが得られた所で、どこにお願いすれば良いのかを探しました。


施主から見て、家を作る時の選択肢は以下の4つに思えました。

・大手ハウスメーカー:
標準やオプションから選んで買う。なんとなく安心。

・中小ハウスビルダー:
そこが持つ特徴を生かしながら、施主の我儘も少し聞いてもらいながら作る。近くに希望の技術を持つ会社があれば良いが、、

・地元の工務店:
施主が自己責任で決めていって建てる。自分一人で全部考えられるかちょっと不安。

・設計事務所+工務店:
施主の希望も加味し、デザイン性も入れてもらいながら作る。相談しながら作れるのは良いが費用は高そう。


まず、一番身近な住宅展示場を回りました。

大手ハウスメーカーの大きく豪華なモデルハウスが立ち並んでいます。ついつい、インテリア等に目を奪われがちですが、ここは気を引き締めてコンセプトを満たせるメーカーがあるか探していきました。


各社、得意領域が異なり特徴があります。


でも、私のコンセプトを全て満たす所は見つけられませんでした。


例えば「性能」を売りにしているメーカーでは、Q値が1を切る事や、地震に強い点は良いなと思いました。

確かに2重の断熱、トリプルガラス窓などを使うとの事なので良いQ値になりそうだし、4x6の壁工法なので地震に強いという事もうなずけます。24時間全熱換気で室内環境がかなり安定する事も期待できそうです。

豊富な資料で説明されるので、理系のお客さんなどは好きになりそうだなと思いました。


耐震、断熱や室内環境という点は私の希望を満たしています。


でも、暮らし方に関する考えの根本が私とは異なると感じました。


Q値は素晴らしいのですが、それを達成するためにウレタン断熱材が使われています。
今年あった倉庫火災の死亡事故でも分かる様に、ウレタンは青酸ガスが出るので万一を考えると、私は使いたくありません。


窓も年中閉め切りを前提としたコンセプトと見受けられました。標準で網戸が付いておらずオプションです。
又、庇が付いていません。窓ガラスで太陽熱を外からも内からも遮断するので不要という考え方だと思いました。


つまり、密閉空間にして、その中を装置を活用して快適環境を作っているのだと思いました。例えれば、宇宙船やオフィスビル的な考え方かな。
装置が多くなればなるほど、メンテや交換などがつきまといます。


北海道から暖かい地方まで、どんな土地ででも快適環境を提供するというのは商売としては良い方法だと理解できます。施主は手軽に快適空間を得る事は出来ます。

でも、私の「健康で安全、自然なそよ風の涼しさや陽だまりの暖かさを感じる。停電でも快適環境が自然に作られる。」という希望とは真逆の発想だと思いました。


私の要望は一般的ではないのかな、という印象を得ました。

こういうコンセプトに対応する中堅会社も近くに見つからず、「設計事務所+工務店」で答えが作れないかを考え始めました。