300ページほどの本ですので、普通ならば1日で読めてしまう厚さの本ですが、その内容の重さ、深刻さに1回で2章読むのがやっと。2週間近くかかってやっと読み終えました。
バイオレンス小説ではなく、これが今、現実にコンゴで起こっている事実という事が心に重くのしかかって来ます。
彼のノーベル賞の受賞のニュースは日本でもずいぶん流れていましたので、存在を知っている人も多いのではないかと思います。
ただ、ニュースで聞くのは、レイプ、性暴力の撲滅を目指し という言葉。
日本で普通使われる 「レイプ」は、性欲による性行為という内容が殆どですが、デニさんが直面している性暴力は、そういう次元の話と、内容ではではない事が分かりました。
同じ単語で表しては、伝わらないのではと感じます。
コンゴでの部族間の民兵による(政府軍も?)部族抗争に於いて、その地域の社会を内部から破壊して制圧するための「金のかからない武器、作戦」としてのレイプ。
コンゴは非常に天然資源に恵まれた、本来ならばとても裕福にもなりうる国なのですが、400もの部族があり、部族主義を扇動し、資源を元に暴力で奪い合う行為、政治が満ち溢れている。欲と恐怖、利己主義とナショナリズムの坩堝になっている様です。
具体的な悲惨な内容や、コンゴ国民がどういう状況を強いられているのかが、つい最近から現時点まで続く現実を赤裸々に描かれています。
具体的な内容は、ここに引用する事もためらってしまう内容です。
その代わりに、デニさんの考えのまとめにあたる部分の一部引用をさせてもらいます。
ここから、
コンゴが必要としているのは公益を重視する起業家だ。そうした起業家の存在こそ、国家が立ち直り、国民が誇りを抱かせる国への生まれ変わるための条件の一つだろう。その夢の実現を望む国民は大勢いる。
と同時に、ほかの分野でも変化が必要だ。たとえば私は、伝統のいくつかを部族主義に類似するものとしてとらえている。性暴力被害者のために働いていると、つねに直面するのが男性優位主義だ。この地では男性が女性を支配する文化が幅を利かせている。女性を”押し潰し”、二次的役割に押し込める文化だ。キリスト教徒が多いコンゴの国民は、強姦は女性を穢し、さまざまな問題を引き起こすと考えている。そのため、そうした”穢れた”女性を家族や教会のコミュニティから排除しがちだ.会衆の面前で赦しを乞うよう女性に強いることもある。
私は事あるごとに、そのような時代錯誤の慣行をやめるよう説いている。この地域で猛威を振るっているレイプは性欲とはまったく関係がなく、強姦を働く者たちの動機の大半はそうした欲望とは別物だと強調しながら。
「それは快楽を得ようとする性的な行為ではなく、獣じみた残虐な行為です。レイプをおこなう人々は、そうすることで権力や鉱物資源を手にできると考えている。あるいは、腹いせにレイプをする人もいる。なぜなら軍が兵士にきちんと給与を払わず、彼らを貧困の中に打ち捨てているからです」
そうしたメッセージを強かいの指導者たちが理解すれば、たくさんの物事が変わるだろう。そして実際、私は変化を感じている。教会の多くが、とにかく以前よりは女性たちの境遇を暗示はじめた気がするのだ。
引用終わり
コンゴでは2019年に新大統領が誕生したが、今までのこの現実から目を背けてきたカビラ前大統領の勢力が沢山残っている。
良い方向に向かうかは全く分からない状況。国際社会からの一層の支援が必要だろう。紛争鉱物を使わないという取り組みも先進国企業に広がりつつあるが、もっと踏み込んだ事が必要なのだろう。
インドでも女性の虐げられる犯罪の話を沢山聞きます、世界ではこういう悲惨な事が沢山残っているようです。
まずは、この現実は皆がちゃんと知る事が重要だと思います。
内容の重い本ですが、沢山の人に読んでもらいたいと思います。
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