日米安保条約のその後を知りたくて、この本を読みました。
ニュースでうっすら聞いた覚えがありますが、2005年に日本の外務大臣、
防衛庁長官と米国の国務長官、国防長官で「日米同盟:未来のための変革と再編」
という文書が署名されました。
実は、これが日米安保条約にとって代わった物。
変わった点は、従来は日米安保は極東の安全保障の確保を目的としていたのが、
この文書では、日米の安全保障協力の対象が世界に拡大されたとのこと。
そして、米国の国益の為に日本が動く。という考えが更に強力に進められている。
日本の政治家も、以前は米国の国益と日本の国益は必ずしも一致しないというスタンス
でいたが、現在はすっかり米国の国益を高める事=日本の国益 という完全追従型の
人ばかりに変質してしまった。
著者は、外交官(イラン大使等)や国際情報局長、防衛大学教授を勤めた経歴の持ち主
だが、この米国の国益に合わせるという思想に警告をしている。
ソ連との冷戦下の米国は、日本をソ連のオホーツク海潜水艦に対する軍力とする為に
対潜哨戒機を自衛隊に沢山導入させた。日本政府は石油の輸入を守るシーレーンの為
と言って導入した。
冷戦後は、米国は世界で唯一の軍事大国になったが、イラン・イラク・北朝鮮を敵と
見立てて、軍備を縮小ではなく維持するべく動いた。日本には更なる軍事参加を求める
事になった。全ては米国の1強体制を維持する為。米国の国益の為とのこと。
又、政府や自民党などから、日本国内に向かって『米国は日本を守る、しかし日本は
米国本土を守らない。これでは不公平だ、これを補うため、日本は他の分野で、でき
るだけ米国に貢献しなければならない』という論があるが、一見もっともらしい。
この論は勢いを増し、今日日本の安全保障論議の主流を占めている。
しかし、この論は正しくない。
日米安全保障関係の取引は、米国が日本国内に基地を持つ、日本が米国側の陣営につく、
日本に攻撃兵器を持たせないこととの引き替えに米国は日本を守る、という取引である。
この取引の提唱者は、米国である。米国は現在もこの取引は十分意義があると見ている。
米国は日米同盟を解消して、基地を返す事になる方が非常に困る。
日本が米国ベッタリでいる事は、日本の国益に合わない事も多い。米国は1強主義になって、
法律や国連よりも米国の単独行動を優先する考えになっている。欧州は法と国際協調
を重視する考え。
日本は、欧州NATOなどとの連携もしっかり取って米国とのバランスを取っていくべきだ。
とのこと。
2009年の本なので少し古いが、現在の安倍政権の 集団的自衛権 の容認の動きなどは
米国の国益=日本の為 という意識そのものの様に思える。
これこそ、国の自立、独立性を失わせていく、思考停止の行動だと思う。
自民党の政治家は、米国ににらまれると下ろされると信じているので、こういう行動に
なってしまうらしい。
日米同盟の実態と、問題点を 実例豊富に 分かり易くかかれた1冊です。
この時期だからこそ、読む価値があると思います。
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