2014年5月4日日曜日

【憲法】平和憲法の使い方1

第1次安倍政権の時にも、憲法論議が盛んにされました。

その頃のマガジン9条編 「使える9条」というブックレットから、今でもなるほどなと思った所を抜き出しておきたいと思います。

・伊勢崎賢治さん(元アフガニスタン武装解除日本政府特別代表)の話

日本が果たすべきなのは、戦争を「予防する責任」。

”武力では和平は達成できない。その事実は明らかです。武力で一時的に争いを止める事ができたとしても、その後に和平を達成するのはあくまでも非武装の政治的交渉です。武力を使わざるを得ないのは、紛争がおこらないようにする「予防」もふくめて、非武装での平和構築に失敗したときだけなんですよね。”

”おそらく日本は、(「保護する責任」ではなく、)いま言った「予防する責任」の方で力を発揮できる、稀な国だと思います。経済力がある、政治的な「色」もつきすぎていない。そして、憲法9条がある・・・。” ”アフガニスタンで軍閥の武装解除が成功したのは日本がやったからです。その責任者だった僕はよく、軍閥に「日本の指示だから従う」と言われました。彼らは日本が経済大国であるとともに、戦争をしない人畜無害な国だとちゃんと感じ取っている。この日本人の「体臭」は9条が培ったものです。なぜそれをもっと利用しないのか。国際紛争の調停に、日本ほど向いている国はないのに。”

”ただ、「護憲派」という勢力も期待できない。「軍事を否定する事が平和につながる」というパラダイムではいけない。という事です。平和を築くためにはまず、軍事というものを直視しなくてはいけない。それなのに、平和というのを、あたかも軍事に対して目をつぶることと取り違えている人が多すぎるんですね。 軍事力では平和は築けません。軍事そのものを否定することもまた、”平和をつくること”には現実的につながりません。「軍事」とか「自衛隊」とかに関することは何でもだめだと頭から否定するんじゃなくて、まず軍事というものを直視して、その意味をきちんと理解したうえで、何が必要なのかを判断する。そうした姿勢があってこそ初めて、非武装による平和構築が可能になるんです。9条という、このユニークな憲法を持っている日本がやるべきことは、まさにそういう事なのではないでしょうか。”

具体例では、

”たとえば、自衛隊がイラクのサマワに派遣されるという決定がされたとき、ちょうど僕はアフガニスタンで軍閥の武装解除に携わっていました。だから、「サマワよりもアフガンに自衛隊員を、武装解除の軍事監視員として送ってほしい」と言っていたんです。アフガンについてはイラクでの戦争とは違って、国連の決議という「大義」も一応あったし、軍事監視員だから非武装でいい。アメリカにイラクでは協力しないけどアフガンでは協力するという「バーター」ができると考えたんですね。軍事監視は、敵対する武装した軍閥の中にあえて非武装で入って、停戦の信頼醸成を築くという危険な任務ですが、日本の中立的なイメージを最大限に生かせるものだと思う。アフガンの軍閥の武装解除は、アメリカの対テロ世界戦略にとってもたいへん重要なものでしたから、アメリカとの関係も損なわれない。これは政府に要求したんですが、実現はしませんでした。””9条護憲派には、自衛隊に関するものは何でもだめだ、みたいな固定観念もあるようだけれど、これは間違っていると思う。むしろ、こういった非武装の軍事監視は、平和憲法の精神を体現するものだと僕は考えます。”


この当時と具体的な国際情勢は変わっていますが、この様な考え方で日本の立ち位置を作っていくのが日本国民にも、世界にも良いのではと思えます。

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